ナワリヌイ氏の側近、リトアニアで襲撃される

近年のロシアで最も著名な反政権派指導者で、収監されていた北極圏の刑務所で2月に死亡したアレクセイ・ナワリヌイ氏の長年の側近だったレオニード・ヴォルコフ氏(43)が12日、在住しているリトアニアで襲撃された。

ナワリヌイ氏の広報担当、キラ・ヤルミシュ氏によると、ヴォルコフ氏は12日夜、首都ビリニュスで車の中にいたところ、ハンマーと催涙ガスで襲撃を受けた。

襲撃者やその動機は明らかになっていない。

ロイター通信は、リトアニアの警察は事件の通報を受け、捜査していると伝えている。

ナワリヌイ氏のチームの1人、イヴァン・ズダノフ氏は、ソーシャルメディアにヴォルコフ氏の写真を投稿。左脚から血が流れているほか、こめかみにもあざがあるように見える。

襲撃者が何か叫んでいたかという質問に、ズダノフ氏は「全ては沈黙の中で起こった」と答えた。

「もちろん、これは明らかな政治的攻撃だ。そこに疑問はない」

ヴォルコフ氏の妻アンナ・ビリュコワ氏によると、ヴォルコフ氏は手と腕を骨折した状態で病院から戻ってきたという。また、ハンマーによる打撲で歩けなくなっているという。

ビリュコワ氏はソーシャルメディアで、「我々はこれまで以上に、さらなる怒りを持って働くつもりだ」と語った。

国外からナワリヌイ氏の活動を支援

ヴォルコフ氏はここ数年、自らの安全のためにロシアの外で暮らしており、ナワリヌイ氏が2月16日、ロシア北極圏の刑務所で急死するまで、その首席補佐官を務めていた。ナワリヌイ氏は政治的とみられている裁判で 禁錮19年の刑を言い渡され 服役中だった。

ヴォルコフ氏もまた、ロシアでさまざまな政治的事件で起訴されている。

ヴォルコフ氏は昨年まで、ナワリヌイ氏が立ち上げた反汚職基金の会長を務めていたが、欧州連合(EU)にロシア制裁の一部解除を求める書簡に署名していたことが発覚し、辞任した。

ロシア国外に住みながら、ナワリヌイ氏とそのチームが活動を継続できるよう動いていた。反汚職の調査、ユーチューブへの動画投稿、ロシアでの抗議活動や大きなイベント時のライブ配信などをしてきた。

ロシア政府が2021年に、ナワリヌイ氏の政治組織を「過激派」に認定し、活動を禁止すると、多くの活動家がロシアを出て、ヴォルコフ氏の元に集まった。

ナワリヌイ氏のチームにいた人々や弁護士の中には、服役中の人もいる。

ナワリヌイ氏の妻が抗議行動呼びかけ

ナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ氏は、今週末に行われるロシア大統領選挙の当日に、ウラジーミル・プーチン大統領への抗議行動を起こすようロシア市民に呼びかけている。

ナワルナヤ氏は抗議の一環として、投票最終日の3月17日正午に、複数の投票所に長い行列をつくるべきだと訴えた。

ナワリヌイ氏が死亡する2週間前に提案したアイデアだという。

15日から17日にかけて実施されるロシア大統領選挙では、プーチン氏が5期目の当選を果たすと予想されている。

(英語記事 https://www.bbc.com/news/world-europe-68549966

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