大井川流域10市町の半数以上“条件付き”で「返水求めない」 リニアボーリング調査めぐり「流域の総意」発言受けて静岡県が意向確認  「反対はしない」“消極的意見”の自治体も…

静岡県の川勝平太知事は3月13日の定例会見の中で、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題をめぐり、大井川上流部の田代ダムで取水が行われない発電設備の工事期間中、静岡県内でトンネル工事の前段階となる「高速長尺先進ボーリング」を実施することについて、流域10市町に意向を確認した結果、半数以上が条件を付けた上で「返水を求めない」と回答したと明らかにしました。

静岡県内での高速長尺先進ボーリングの実施をめぐっては、2月25日に開かれたJR東海の丹羽俊介社長と大井川流域の市や町との意見交換会で、島田市の染谷絹代市長は2024年2月から2025年11月までの発電設備の工事に伴い、取水が停止される期間中に実施した場合は、返水を求めない考えを「流域の総意」として、JR東海に伝えたと説明しました。

これを受け、川勝知事は2月26日の記者会見で「総意だったか、確かめる必要がある」との見解を示しました。その後、担当課が流域の10の市や町に電話などで意向を確認した結果、半数以上が「発電設備工事中の県外流出量が、取水停止により大井川で増加する水量の範囲内であれば」という前提条件を付けた上で「返水を求めない」と回答したということです。

川勝知事は、その他の意見として、「流水量を戻さない考えに反対はしない」という消極的ともとれる意見もあったと説明しました。

また、川勝知事は、水資源や生物多様性についての県の専門部会を4月に開催する予定だとして、高速長尺先進ボーリングの実施についても専門部会で議論する考えを示しました。

高速長尺先進ボーリング調査は、山梨県内で実施され、静岡県境まで459メートルの地点で、2023年10月から機材のメンテナンスを理由に中断しています。JR東海の丹羽社長は7日の記者会見で、大井川流域の首長たちと、高速長尺先進ボーリングに対する考えが一致しているとして、県や利水関係者にも説明し、理解を求めたいとしました。

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