2024年は“そこそこのスタート”とフェラーリF1代表。マシンは「さらなる改良へ向け良い状態にある」と自信

 2024年F1の開幕2戦を終えてフェラーリは、昨シーズンの覇者レッドブルを追う立場として、他のどのライバルよりも最も近い位置にいる事を把握した。

 特に予選においては、セルジオ・ペレスの前に出ることも可能なレベルにあるということも明らかになったが、決勝レースではレッドブルの2台を止める手段は持ち合わせていないようだった。

 2024年シーズンは、2023年の頭にフレデリック・バスールがチーム代表に就任して以来、マシンの開発から実践までのすべての計画を実行することができる最初のシーズンであることを踏まえて、開幕2戦を振り返った。

「昨年の我々は、不出来なシーズンスタートを迎えた。確かな数字は覚えていないが、開幕3戦で獲得できたのは25ポイントほどではなかっただろうか(2023年第3戦オーストラリアGP終了時点で26ポイント)。それに比べて今年は、2戦を終えてすでに49ポイントを獲得することができている」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

「ひとつの要点として、我々のクルマは昨シーズンよりも確実に運転しやすい状態に仕上がっている。それは絶対的な速さに繋がる点ではないにしろ、さらなる改良へ向けて良い状態にあると言えるだろう」

「なぜなら、ドライバーにとって予測しやすいクルマであればあるほど、エンジニア側も改善に必要な点を把握しやすくなるからだ」

「昨年から始めた我々のアプローチは、徐々に結果をもたらし始めている。このような開幕を迎えられたことは、大いに重要な点だ」

 昨年のSF-23は、タイヤに対する攻撃性の高い特性があったが、今年のSF-24はタイヤに優しい仕上がりになっているようで、開幕前テストからバスール代表もその向上を実感するコメントを残していた。しかしレースパフォーマンスの向上は、それだけで得られるとは信じていない様子だ。

「サウジアラビアでは、レース序盤の接近戦でのペースこそ不透明であったが、クリーンエアの状態で走ることができたシャルル(・ルクレール)はペースが向上し、前に追いつくことができた」

「もちろん、レースペースを純粋に比較することは難しいが、1秒近くの差をつけられてしまった1年前と比較すると、今シーズンの我々はレッドブルに対して0.5秒差ほどのペースで走ることができたことになる」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

「つまりその差は半分ほどになったということだ。縮まったこの0.5秒は、大きな一つの要素が元になっているわけではなく、(昨年から続けてきた)細かな進歩の集まりが結果に繋がっているのだ」

 2024年も首位をひた走るレッドブルとの差を、徐々に縮めつつあるフェラーリ。しかし今年の開発レベルは、昨年よりもさらにシビアなものになってきていることも示唆する。

「昨シーズンのマクラーレンは、一年を通して多くの改良を施してきた。そのなかで彼らは、純粋なパフォーマンスアップ以外に、速さを得るヒントを探ることにも注力していたんだ」

「我々も一年を通して改善をしてきたが、0.5秒を稼ぐのが限界だった。このことは、このマシンと現在のレギュレーションにおいて発揮されるパフォーマンスの収束を意味しているように思う」

「改良具合とタイム向上との比率は徐々に低くなってきており、開発競争がよりシビアなものになってきているという点は見逃せない」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 開幕2戦を終え、かすかに見えてきた今年の戦力差を語ったバスール代表は、最後に次のように締めくくった。

「レッドブルに追いつくためには、あらゆる分野で改善する必要があるが、我々はそこそこのスタートを切ったと言えるだろう」

「すべてのチームが、さらなるアップグレードを計画しているはずで、特に空力については引き続き重要な開発要素となる」

「我々がこれからも重視していきたいことは、クルマの操縦性における進歩をもたらすことだ。昨年我々が良い仕事を残すことができたのは、その部分においてであると信じているよ」

2024年F1第2戦サウジアラビアGP フレデリック・バスール代表(フェラーリ)

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