出演映画が2作公開! 注目の俳優・葉山さらが感じた現場での学びと俳優としての成長

『エルピス-希望、あるいは災い-』『福田村事件』など、数々の映画やドラマ、CMに出演し話題の俳優・葉山さら。この3月には出演映画が2作公開となり、ますます目が離せない。現在公開中の『瞼の転校生』は⼤衆演劇の世界で⽣き、公演に合わせて1か⽉ごとに転校を繰り返す中学⽣が、限られた時間のなかで出会う⼈々と⼼を通わせながら、少しずつ成⻑してゆく姿を描いたヒューマンドラマ。

また、3月15日に公開を控える『恋わずらいのエリー』は、大人気少女漫画が原作の“推しとの両想い”を描いたティーンの憧れが詰まったラブストーリー。それぞれの違いを感じながらも、現場ではさまざまな学びがあったという彼女に直撃。作品に関することはもちろん、お芝居に対する意識についても話を聞いた。

大衆演劇を身近に感じてほしい

――大衆演劇を題材にした現在公開中の映画『瞼の転校生』に、ヒロインとして出演しているさらちゃん。そもそも大衆演劇ってご存知でしたか?

葉山 大衆演劇という言葉は聞いたことあったんですけど、どんなものなのか全く知りませんでした。劇中で実際の大衆演劇『劇団美松』さんが参加しているので、撮影でその舞台を拝見したんですが、役者さんたちが綺麗な着物を着て踊る姿が美しくて、“こんな世界があるんだ”と感動しました。

――さらちゃんが演じた茉耶ちゃんはどんな子ですか?

葉山 すごく真面目で、自分の意志を強く持ってる子だなって思いました。いい意味で周りを気にしすぎず自分の道を突き進めるし、何事も納得がいくまで全うできる。意志が強いところは私と似てるなと思ったんですけど、いつも行動に移すまでに時間がかかるので……“思い立ったら即行動”ができる茉耶が羨ましいなって思いながら演じてました。

――藤田直哉監督からは、現場で演じ方について指示やアドバイスなどはあったんでしょうか。

葉山 現場に入ったときは緊張していたつもりはなかったんですけど、カメラの前に立った際に、どう動いていいのかわからなくなったことがあって。「もっと肩の荷を下ろして、素直にやっていいんだよ」と藤田監督が声をかけてくださって、それからはガチガチになっていた気持ちが少し解けて、共演者の松藤史恩(本作の主人公・裕貴役)くん、齋藤潤(裕貴の友達・建役)くんとも仲良くなれてすごく演じやすくなりました。

同世代の史恩くんと潤くんのお芝居は、見ていて勉強になることばかりで……。史恩くんは自分の中で作り上げた“裕貴”を全力で演じていて、潤くんはスマートだけど細かい仕草で“建”を表現していて。私にないものをたくさん持っていて、撮影中はずっとモニターで2人の演技を見てました。

――同世代だからこそ、より刺激を受けた部分もあったんでしょうね。いちばん印象深いシーンは?

葉山 潤くんが演じる建の部屋で、史恩くんと3人で言い合いをするシーンです。口論ってテンポが大事だし、狭い部屋の中で感情の昂ぶりを表現するのが難しくて苦労しました。でも、そのシーンは最終日に撮影されたので、すっかり3人の仲が深まっていて、するどい口調の台詞も遠慮なく全力で言えました。「このシーンは最後に撮りたかったんだ」と監督がおっしゃってたんですけど、いま思うとそういった狙いもあったのかもしれません。

――本作を通してさらちゃんが感じた、大衆演劇の魅力を教えてください。

葉山 役者の方とお客さんの距離が近いことだと思います。劇中にも描かれてるんですが、常連のお客さんたちと劇団のメンバーで食事に行くことがあるんです。聞いたお話だと、そういったお付き合いをしているなかで、お客さんのお子さんが興味を持って役者さんになることも実際にあるらしく。舞台と客席の物理的な距離の近さもありますし、映画やドラマとは違う世界だなって思いました。

日本の伝統芸能って思うと少しハードルが高く感じるかもしれないんですけど、一度見てみたら舞台の迫力に圧倒されると思います。本作を通して、大衆演劇を身近に感じてもらえたらうれしいです。

高校生活は何気ない日々が思い出

――3月15日にはもう1作、さらちゃん出演の映画『恋わずらいのエリー』が公開になります。コメディタッチな作品には初挑戦ということで、これまでの出演作といろいろギャップを感じたんじゃないでしょうか。

葉山 テロップと効果音がたくさん使われていているので、現場で見ていたものと実際に映像に仕上がったものが全然違って、今までの出演作にはなかった感覚でした。現場で監督がすごく細かく動きを指示されていて、コマごとのような撮り方をしていたので、映画というよりCMの撮影みたいだなと思ってたんですけど、完成した映画を観て“こんな感じに仕上がるんだ……!”って、面白くて感激しました。

――演じるうえで、これまでのお芝居との違いを意識した部分はありますか?

葉山 本作の役柄はギャルっぽい、属性でいうと“陽”なタイプの子で。私自身は学校とか日常生活では明るいんですけど、お仕事となると落ち着いて大人しくなってしまうので、ポップに見せたり、テンションを上げたりするのが難しかったです。自分が友達と話しているときの100倍くらい明るく元気にいこう、という気持ちで演じてました。

――学園物語なので、同世代の共演者の方がたくさんいたと思います。現場の雰囲気はいかがでしたか。

葉山 本当の学校みたいに、すっごく明るい現場でした。男の子たちは初日からすでに“5年来の友達なのかな?”っていうくらい打ち解けていて。私は大平萌笑ちゃんとよくお話をしました。同い年っていうのと、高校生から芸能活動を始めたっていうので共通点が多くて、“高校生活と芸能生活の両立あるある”を話して盛り上がってました(笑)。

――これまでさまざまな作品、役柄を経験してきたなかで、お芝居に対する意識に変化などは生まれましたか?

葉山 デビューしたての頃は台詞を覚えてなぞるだけで精一杯だったし、台詞が出てこなくなったら頭が真っ白になってたんですけど、いろんな現場を経験させていただいたり、同世代の子のお芝居を見て研究しているうちに、シーンごとの役割を考えて“ここで自分はどう表現したらいいだろう”とか“どうしたら見てくれる人を惹きつけられるだろう”と考えながら取り組めるようになったと思います。

――目の前のシーンだけでなく、作品の全体像や出来上がった先の視聴者のことまで考えられるようになったんですね。さて、さらちゃんはこの春に高校を卒業。高校生活は悔いなく終えられそうですか?

葉山 どうだろう……。精一杯、楽しんだ気もしますし、もっと制服でお出かけしたらよかったなっていう後悔もちょっとあります(笑)。でも、大事な友達がいっぱいできたし、勉強も芸能活動と両立しながら一生懸命に頑張れたし、すごく充実してました。

――高校生活いちばんの思い出は?

葉山 1つに絞るの難しい! イベントでいうと、修学旅行がいちばん楽しかったんですけど。でも、振り返ると友達と隣の席で一緒に授業を受けたり、学校帰りにプリクラを撮りに行ったり、何気ない日々の方が楽しかったように思います。もう取り戻せないものだと思うと、ちょっと寂しいですね。

――趣味として挙げている英語は引き続き勉強されるんでしょうか。

葉山 そうですね。高校3年間で英語の勉強にはかなり力を入れていたので、高校で習っていたような文法とかだけでなく、もっと会話が楽しめるようになりたいです。

――ちなみに、今の英語力ってどのくらいなんですか?

葉山 洋画だと完全に字幕なしはまだ不安なんですけど、なんとか6割くらいは理解できます。日本語と英語で言葉の意味のニュアンスが若干違ったりするので、そういった違いが見抜けるのも勉強になるし楽しいです。ただ、つい先日、外国人の方に街中で突然話しかけられたことがあって。会話は通じたんですけど、あとから“もっとこんなふうに話せばよかった”って気づいて……改善点はまだまだあります。

――高校卒業後も、お仕事と勉強の両立でハードな日々が待ち受けてそうですが、今後の活躍も楽しみにしています!

葉山 ありがとうございます! “俳優として生きていく”と自信を持って言えるよう、もっともとお芝居が上手になりたいです。ひとつひとつのお仕事と向き合って、一生懸命に頑張ります。


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