春闘、大企業は昨年上回る賃上げ 中小波及は「正念場」=矢田首相補佐官

Kentaro Sugiyama Tetsushi Kajimoto

[東京 13日 ロイター] - 矢田稚子首相補佐官(賃金・雇用担当)は13日、ロイターとのインタビューで、2024年春季労使交渉(春闘)について、大企業は「昨年を上回る賃上げが実現する」との見通しを示すとともに、これからその動きが中小企業まで広がっていくか「正念場」を迎えるとの認識を示した。

13日は主要企業が労働組合の要求に回答する集中回答日で、午前からトヨタ自動車、日産自動車、パナソニックホールディングス、日立製作所など満額回答の表明が相次いでいる。

矢田補佐官は「大手については去年を上回る賃上げの回答が出るものと思っている」と述べるとともに、「本当の正念場は中小企業だ」と指摘した。「数字も大事だが、すそ野が広がることも大事だ」と述べ、政府として医療や介護の現場の賃上げを促す取り組みを進めるほか、労組が連合に加盟していない企業や非正規社員などにも賃上げが広がっていくことも重要だと語った。

矢田補佐官は、政府は昨年以上に力を入れて賃上げに取り組んでいるものの、「引き続き盲点となるような課題点を把握して対応していきたい」と語った。

市場では13日の回答結果や、15日の連合の第1回回答集計の結果が良好だった場合、日銀がマイナス金利の解除など金融政策の正常化に動くのではないかとの観測があるが、矢田補佐官は、日銀が決定する役割を担っているものとして言及を避けた。

(杉山健太郎、梶本哲史 編集:石田仁志)

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