富雄丸山古墳 青銅製の鏡見つかる 木棺内部の構造明らかに

奈良市にある国内最大の円墳・富雄丸山古墳の発掘調査で、木の棺の内部の構造が明らかになり、青銅製の鏡などが見つかりました。

4世紀後半に造られたとされる富雄丸山古墳では、墳丘の「造り出し」と呼ばれる部分の埋葬施設から、これまでに出土例のない「だ龍文盾形銅鏡」と古代東アジア最大の「蛇行剣」が見つかり話題になりました。

本田まりあ 記者

「週末の一般公開を前に、明らかになった木棺の状況が報道陣に公開されました」

木棺の発掘調査は去年12月に再開され、棺のふたを取り払った棺内部の調査の結果が発表されました。木棺の全長は約5.6メートル。棺の端と内部に板が立てられていて、内部を三分割していることがわかりました。このうち中央の「主室」には被葬者の頭部と思われる場所を中心に水銀朱が広がり、足元にあたる場所からは、漆塗りの「竪櫛」が9点出土しました。

そして南東側の「副室」からは青銅製の鏡が良好な状態で3枚出土しました。鏡は背面が見えないため、現時点で種類はわからないということですが、1枚は縁の形から三角縁神獣鏡の可能性があるということです。

これらの副葬品について、奈良市教育委員会の鐘方正樹さんは、「蛇行剣などと比べると不釣り合いな感じがする」と話し、次のように推測します。

奈良市教育委員会 文化財課 鐘方正樹さん

「蛇行剣や盾形銅鏡というのは、墳頂部に埋葬された主が本来持っていて、あえて副葬したと考える方がいいのかなと思います」

では考えられる被葬者とは…?

奈良市教育委員会 文化財課 鐘方正樹さん

「副葬品の内容から見て女性的な感じがします。上(墳頂部)の被葬者は男性そしてこちらの被葬者は女性。おそらくこの2人の関係はきょうだいではなかったかなと考えています。政治的な機能、祭祀的な機能を役割分担しながら、この地域の政治を行っていたんじゃないかと考えています」

奈良市教育委員会では今後、出土した副葬品や棺本体を取り上げて調査を行うということです。なお、発掘現場の一般公開は3月16日と17日に行われる予定で、3枚の鏡も出土した状態のままで見学できるということです。

また去年出土した「蛇行剣」の特別公開が3月30日から4月7日までの間、県立橿原考古学研究所附属博物館で行われる予定です。

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