【金沢市片町】予約必至のおでん居酒屋「酒BARのおでん バンチョーサン」来てくれた人が笑って帰ってくれたらいいな|石川県

石川県金沢市、片町の隠れた名店、「酒BARのおでんバンチョーサン」。ほどよく明るい店内には、一見さんやおひとりさまにも入りやすいカウンター席はもちろん、グループでの利用に嬉しいテーブル席も完備されています。イチオシの創作おでんやおいしいお酒に舌鼓を打ちながら、店主である「番長さん」に能登半島地震後のお店の在り方などのお話を伺いました。

バンチョーサンと言えばこれ!注文せずにはいられない絶品料理

片町の一角、ビルの2階にある予約必至の名店『酒BARのおでん バンチョーサン』。ほどよく明るい店内には、一見さんやおひとりさまにも入りやすいカウンター席はもちろん、グループでの利用に嬉しいテーブル席も完備されています。

お通しの盛り合わせ

着席してはじめに出てくるのは、見た目も味も楽しめる満足度の高いお通し。旬の野菜や魚をふんだんに使用しており、ほどよく空腹を刺激してくれる一皿です。

はちみつチーズ豆ふ

おつまみに持って来いの一品がこちら。クリームチーズ、豆腐のほかに牛乳や生クリームを使用した滑らかでコクのある味わいは、一度口にしたらその虜になること間違いありません。

おでん盛り合わせ

聳え立つ大根に盛られたとろろ昆布が美しい

おいしいツマミにお酒が進むなか、運ばれてきたのはお待ちかねの『おでん盛り合わせ』。

単品での注文はもちろん、3点盛り、6点盛りがあるのでお腹の具合と相談して決めることができます。出汁がしみしみになった車麩が入っているのも、金沢ならではの光景ではないでしょうか。

てっぱんしゅうまい

あつあつでボリューム満点な一粒

次に、一番人気の『てっぱんしゅうまい』も外せません。ジュワーっと焼かれる度に立ち上る香ばしい香りが食欲をそそります。口いっぱいに広がる贅沢な肉汁を味わってください。添えられた黒胡椒ソースも、これだけでアテになるほどのおいしさです。

おでんのだし割り

そしてなんといってもこれらのおいしい料理と一緒に味わってほしいのが『おでんのだし割り』。熱燗におでんだしを注ぎ、仕上げにお好みの七味をふったら完成。ホッとするあたたかさのなかにぎゅっと閉じ込められた日本酒の味わいが口の中に広がります。風の冷たい金沢で、寒い時期に飲むと一層身体に染み渡る一杯です。

まっ茶のブリュレ

この瞬間を幸せと呼ばずに何を幸せというのか

甘いものは別腹! という方にはデザートも。この日いただいた『まっ茶のブリュレ』は表面パリパリ、中トロトロで、濃厚な抹茶の味わいが絶妙な一品でした。持ち帰り用にも売って欲しいくらいのおいしさです。

深夜まで営業されているので2軒目、3軒目にも利用できるのが嬉しいですね。

番長さんの凛々しい料理姿

ここでしか味わえない料理と、優雅なひとときを提供する『酒BARのおでん バンチョーサン』。番長さんが心を込めて作り上げる至高の料理に、ぜひ酔いしれてみてください。

店主番長さんにインタビュー!能登半島地震を受けて

― 今回の地震でお店に影響はありましたか?

番長:割れたのはグラスとお酒が1本くらいで、奇跡的にお皿は全部無事でした。本当は1日から営業するつもりだったんですけど、様子を見て4日まで休もうか、みたいな。同じ片町のお店でももっと被害の大きいところは多いし、そもそも能登や、被害の大きかった内灘に比べたら全然大したことなかったです。

― 客足が途絶えることはありましたか?

番長:1月は確かに自粛っぽい感じがありましたし、観光の人はザクっと来なくなりました。でもそれ以外の、普段から片町でご飯を食べてる人たちはそれなりに、普段通りにお店に来てくれていたので、うちは運がよかったというか。老舗のお店に比べたら常連さんもまだまだ少ない方ですが、休んでいるお店も結構あった中で選んでもらいやすかったっていうのはあったかもしれないですね。

― 印象的だった出来事はありますか?

番長:実家のある内灘は被害の大きい地域でした。場所によっては信号機が身長くらいのとこまで下がっていたり、道路がめくれあがっていたり、液状化でゆるゆるになっている場所は復旧するのが本当に大変だと思います。もう戻らないかもしれないですね……。奥の方に行ったら地面が盛り上がっていて、奥能登と変わらない状態の場所も多いです。

― ご実家は大丈夫でしたか?

番長:実家自体はそんなに被害はなくて。門前で被災してしまった親戚の方が大変そうでした。かなり限界集落の方で、ほんとに集落に4~5軒しか家がないような山のなかで。その親戚が2月になってから僕の実家がある内灘に来ていたので会いに行ったんです。大変な話も聞きましたが、自分たちに心配させないようにか「20日ぶりにお風呂入ったー」と明るく言っていたり、元気な姿を見ることができたのは嬉しかったです。

― 営業しながらご実家の片付けに行っていたのでしょうか。

番長:行けてなかったですね……実家の被害は少なかったのですが、友達の家はもう住めなかったりするところもあるみたいで。内灘の一番ひどいところ、僕の昔歩いてた通学路とかはガタガタです。一度今年に入ってから同級生が飲みに来てくれて、「うわあ家大丈夫だったけ!?」って聞いたら「もうだめやあ。もう家住めんわあ」って言いながらビールがばがば飲んでたので、みんなパワフルやなって。元気にやっとんなって。だめならだめでみんな元気にやるんだなってちょっと安心しました。

― 地元を離れざるを得ない人もいるのでしょうか。

番長:避難所とか仮設住宅に住まわせてもらっとる、みたいな人はいますが「住めない家の今後のことはあとから考えるわ」という人が多い気がします。内灘からよく来てくださるお客さんも、下水がだめになってしまって金沢のホテルにずっと住んでいたけど、「最近復旧してきたから帰るわ」って帰っていったり。家として住める人は帰って元の生活に戻っている印象です。

無理に背伸びはしない、等身大で普段通りの営業を

― 震災後、感じたことはありますか?

番長:「私これだけやりました」みたいなアピールは苦手でした。おおっぴらに言わず、粛々とやればいいかなと思ってました。僕らは片町という安全な場所にいて、被災地で何が起こっているかわからず、当事者みたいな顔できないので。

― 飲食店を営んでいると、炊き出しに行くことも考えたのでしょうか。

番長:被災地によっても状況が違うので、どこへ、何しに、何を作りに行くか考えるのは僕じゃないな、と思いました。自分のフィールドから離れて苦手なことしに行くのが自信なかったとも言えますが。できることは限られているので、わかっている人にまかせることも大事だなと。

― ご自身のフィールドであるお店に立つことが一番の「できること」だったんですね。

番長:そうやって普通に営業して、震災後はじめて来てくれたお客さんの顔を見て、生きてまた会える喜び感じましたね。「うおお、◯◯さん来てくれたあ!」って、本当に嬉しかったです。

「できることをできる限りでやりましょう」番長さんの考えるお店の在り方

― 震災後に「絶対営業していよう!」という気持ちはありましたか?

番長:いや、思わなかったです。

一同:笑

番長:「街に灯りを灯さなきゃ」みたいな使命感はなかったので、みんなが言っているような大層なことはあんまり考えてなかったです。

― 震災前と何も変わらない、「当たり前」にやっている番長さんのお店は、たくさんの人の救いになっていたと思います。

番長:「経済をまわそう」って意識は大事なんですけど、自分には能登のために何かしようみたいなことを言うのは偉そうなんじゃないかなって。だからできることをやろうって。その程度でいい、元気に営業してお客さんが来てくれたら、来てくれた人が笑って帰ってくれたらいいな、くらいの気持ちでした。それが自分の仕事だし、それをしっかりやっていれば何かの助けにはなるだろう、と思っています。

店主の番長さんと女将の李香さん

酒BARのおでんバンチョーサン

住所:金沢市片町2丁目21-24ビルズ2階

電話番号:076-254-1992

営業時間:月〜土曜18時〜翌3時、日曜日18時〜0時

定休日:木曜日

Instagram:https://www.instagram.com/falcon.dag/

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