観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」…後継「あめつち」まもなく木次線へ 課題は?

4月からJR木次線に乗り入れる観光列車「あめつち」の旅を一層楽しんでもらおうという地元観光ガイドの訓練が始まっています。
去年運行を終えた観光トロッコ列車・奥出雲おろち号の後継として、多くの人たちからの人気を集められるでしょうか。

観光ガイド
「国鉄によって昭和12年12月12日に備後落合まで全通、開通しました。」

この日は島根県雲南市などで、通常の列車に便乗して原稿と実際の車窓を見比べながら読むタイミングを確認しました。

「あめつち」はJR山陰線の鳥取駅と出雲市駅間で週末を中心に運行されて来ましたが、来月からは兵庫県の城崎温泉駅やJR木次線にも定期的に乗り入れ、山陰東部を代表する観光列車に大きく飛躍します。

沿線自治体などで作る木次線利活用推進協議会のプロジェクトチームが運営する観光ガイドは車内アナウンスなどで沿線を紹介し、この日は2回目の乗車研修でした。

「結構、時間も沢山あるけど…」
「分かりやすいのはトンネルとかより、駅通過とかの方が分かり易いですか?」
「そうだね。」

JRのOBの男性は路線を熟知していて、ガイドを始める目標になりそうな地点をみんなに教えます。

観光ガイド 山根陽子さん
「あめつちの終点はここ出雲横田ではありますが、この先にもまだ見どころ沢山ございますので、是非木次線乗り換えられて、ラッピング列車もお楽しみ頂きながら引き続き乗ってもらいたい、ということはアナウンスして行きたい。」

1998年にデビューし、四半世紀以上にわたって人気を集めた奥出雲おろち号。
車両の老朽化が進み去年11月、運行が終わり、その代わりとして「あめつち」の木次線への乗り入れが決まりました。

一方、発表された運行ダイヤでは下りの出雲横田駅行き「あめつち」は宍道駅午前9時半発で、出雲横田駅午前11時21分着は奥出雲おろち号とほぼ同じ。
やはりサンライズ出雲号や特急やくもの始発列車には接続せず、山陰の外からは乗り継ぎにくいままです。

また、「あめつち」は出雲横田駅止まりで乗客が先にある3段スイッチバック区間に行くには、列車だと午後1時11分発まで2時間足らず待つことになります。

このためレンタサイクルやタクシーを使った周遊観光プランが計画されていて、一部の行程に列車を組み込むなどで3段スイッチバック体験や鉄道の利用促進を図ります。

一方、戻りは40分余り後の正午過ぎに発車します。広島県側からだと午前中1本ある列車で出雲横田駅に着いてから1時間半待つことになります。

そのほか「あめつち」は快速なので、一部の停車駅では演奏や神楽の歓迎がありますが、多くの通過駅ではおもてなし活動が難しくなりそうです。

26年間走り続けた人気列車の後を継ぐ「あめつち」。来月7日のデビュー以降、9月までは月2回から4回木次線を走ることが決まっています。

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