「なんで割引ダメなんだ!」適用されず宿に苦情相次ぐ 北陸応援割、混乱含みの本格スタート

能登半島地震を受けた観光支援策「北陸応援割」の予約受け付けがスタートしたが、対象になるホテルや旅館などが、予算を使い果たして割引が適用されなったことなどへの苦情が相次ぎ困惑していると、X上で訴えている。

北陸応援割は、富山、新潟、福井の3県で2024年3月8日に先行して受け付けがスタートし、石川県でも12日から始まった。1人1泊2万円を上限に、16日から4月26日の宿泊代金が最大50%引きとなるといったものだ。

「何も悪いことしてないのになぜ謝らねばならないのでしょう?」

「なんで割引ダメなんだ!」。富山県黒部市内にある宇奈月温泉「ホテル黒部」は3月8日、応援割が使えないと知ると、電話越しに怒鳴ったり嫌味を言ったりする人が相次ぎ、電話に出る社員を増やして対応したとX上で明かした。

割り当てられた予算が受け付けから約30分でいっぱいになり、割引適用ができなくなったという。相次いだクレームについて、「私達は何も悪いことしてないのになぜ謝らねばならないのでしょう?」と複雑な心境を漏らした。

「理由説明してるうちにヒートアップしてくるし、電話時間は長くなって、他の方からなかなか繋がらなかったといきなり言われるわ、もう散々です」

「割引無しをお伝えすると消えていく電話ばかりでツライです」

「割引ないならキャンセルします」といった電話もあり、対応に追われて一時的に留守番電話にするほどだったという。「クレーム対応に追われてしまい、社員達は疲弊してしまいます」と苦境を訴えていた。

また、同じ富山県では、氷見市内にある「民宿あおまさ」の女将も9日、ホテル黒部の投稿に反応する形で、「うちも、北陸割でさまざまなお客さまが電話をかけてこられました」とX上で告白した。

「北陸割できないならキャンセル」という人もいたといい、「通常料金で来ることがないでしょうから...当館とはご縁のない方だと思うようにしています」として気持ちを切り替えているとした。「現在、北陸応援割でのクレームやキャンセル対応で疲弊している宿泊施設が多いです」と明かし、「みなさんにお願いしたいのは、優しい気持ちで被災地の宿泊施設の方々に接してほしいということです」と訴えていた。

12日スタートの石川県「『電話してもつながらない』といった話は耳にしています」

新潟県などの他のホテルや旅館でも、電話が来て開口一番「北陸応援割は終わりましたか?」と聞かれてがっかりした、など客への対応に困惑していることを明かすX上の投稿が相次いでいる。

3月12日に北陸応援割がスタートしたばかりの石川県では、どのような状況になっているのだろうか。

応援割を所管する県の誘客戦略課は13日、J-CASTニュースの取材に対し、「45分で予算がなくなったといったニュースがあり、少なくともいくつかの施設では割引が適用されなくなっているようです」としたうえで、こう話した。

「予約の電話が鳴り止まず、『いくら電話してもつながらない』といった話は耳にしています。事前の予約を割引適用するのはルール違反になりますので、『割引にならなかったのでキャンセルしたい』という電話が来ることもゼロではないでしょう。割引がなくなったことに客から捨て台詞を言われたとしても、各施設では丁寧に説明しているのではないかと思います。各施設の公式サイトには、割引が終わったことが出ていますが、見られていないこともあるのではないですか。割引が終わると、それを断るのが大変で、施設も苦労されているのだと思います」

政府による過去の旅行キャンペーンと同様に、宿泊料金が高いホテルや旅館に予約が殺到しており、予算が早期終了している状況だとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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