これぞナショナル・フラッグキャリア! アジア最古の航空会社・フィリピン航空の歴代塗装

名古屋飛行場 1972年10月1日撮影 PI-C829 ダグラス DC-8-33 フィリピン航空

フィリピンのナショナル・フラッグキャリア、そして同国唯一のフルサービスキャリア(FSC)として日本でもなじみ深いフィリピン航空。実はアジアで最も歴史ある航空会社で、運航開始はなんと太平洋戦争開戦前の1941年3月15日、戦時下での商業運航停止や2度の経営破綻を挟みながらも、84年に渡って空を飛び続けています。

フラッグキャリアらしく、ジェット化以降は一貫して垂直尾翼にフィリピン国旗をモチーフにした赤と紺のデザインが施されてきました。今回は、そんなフィリピン航空の塗装デザインを、ダグラスDC-8型機を導入しジェット化した1960年代から振り返っていきます。

■1960年代 DC-8

創業当初から1960年代にかけては、銀色に青いチートラインを施した、現在のイメージとは少し違う塗装が施されていました。大きく変化したのが、初のジェット機であるダグラスDC-8を導入、国際線に初参入した1960年代中頃で、初めて国旗をモチーフにした赤と紺の三角形が重なるデザインが施されました。黄色い太陽のデザインがない点、垂直尾翼上に「PAL」のロゴが書かれている点が特徴的です。上が紺、下が赤のチートラインも引かれ、コクピット付近でシャープに収束。胴体の社名ロゴも現在と異なり、細いフォントで「PHILIPPINE AIR LINES」と記されています。© FlyTeam Y.Todaさん1960年代のフィリピン航空の塗装

■1970年代 DC-10

BAC1-11や初のワイドボディ機であるDC-10を導入した1970年代、塗装にも若干の変化が起こりました。コックピット手前でチートラインが途切れ、終端部とつなげる形でフィリピン国旗がデザイン。これにあわせ、色の比率も赤と紺が同じに変わっています。また、垂直尾翼上の「PAL」のロゴも消え、胴体のロゴも太字の「Philippine Airlines」に変化し、少しずつ現在の塗装に近づいてきました。© FlyTeam パール大山さんチートライン終端がフィリピン国旗に変更された1970年代の塗装

■"The Love Bus" エアバスA300

1979年11月に導入されたエアバスA300型機には、"The Love Bus"の愛称が付けられました。塗装も少し変化し、コックピット手前の国旗がなくなり、チートラインが機体を一周するデザインに。また、導入当初はコックピット横に"The Love Bus"のロゴが描かれました。ちなみに、この"The Love Bus"ロゴは、エアバスA350-900型機「機体番号:RP-C3507」(退役済み)「RP-C3508」にも受け継がれています。© FlyTeam パール大山さん”The Love Bus”仕様のA300 © FlyTeam banshee02さん時代を超え、A350にも受け継がれた"The Love Bus"ロゴ

■「ジャンボジェット」ボーイング747

1979年12月に「ジャンボジェット」ボーイング747-200型機の初号機を受領、翌80年1月に運航を開始しました。A300と同様、チートラインが機体を一周しており、他の機体よりもラインが太くなっているのが特徴です。© FlyTeam Gambardierさんパリ オルリー空港 1988年2月28日撮影 N744PR ボーイング747-2F6B フィリピン航空

■1986年~ 現在のCI導入

1986年、フィリピン国旗の3要素を組み込んだ新たなコーポレート・アイデンティティ(CI)を導入、現在まで約38年に渡ってこのデザインを使用しています。垂直尾翼の紺色の部分に黄色の太陽をモチーフにしたデザインが加わり、よりフィリピン国旗らしいデザインに変更。対照的に胴体はシンプルになり、「Philippine」のロゴが記されるのみのデザインに変わりました。ロゴの位置は概ね機体前方ですが、A300やアッパーデッキが長い747-400などの一部機材は、ドア位置等の関係で機体中央寄りに配置されています。© FlyTeam なごやんさん"Philippine"ロゴが機体中央に寄っているA300 © FlyTeam jun☆さんA300と同じくロゴが中央に寄っている747-400 ウィングレットにも垂直尾翼と同様のデザインが © FlyTeam まどさん38年間に渡り不変の機体塗装

羽田、成田、関空、福岡などをはじめ、日本各地で見ることができるフィリピン航空の飛行機。ワンポイントのステッカーなどを除くと特別塗装機も少ないこともあり、フィリピン航空といえばこれ、というイメージが定着しています。一目でフィリピンの航空会社と分かる、これぞ「ナショナル・フラッグキャリア」の塗装といえるのではないでしょうか。

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