ゲーム実況×サッカー? 異色のスポーツエンタメ「キングス・リーグ」が面白そう

サッカーとゲーム実況を組み合わせたような7人制サッカー「キングス・リーグ」初の世界大会「キングス・ワールドカップ」が開催される。

開催地はメキシコ。5月から6月にかけて全32チームが優勝を争う。

3月12日、この「キングス・ワールドカップ」の会長として、北欧・スウェーデンを代表する元サッカー選手のズラタン・イブラヒモヴィッチさんが就任することが発表された。

日本では、サッカーファン以外にはまだまだ馴染みが浅い、でもサッカーファン以外にも刺さりそうな「キングス・リーグ」。その特徴や魅力を紹介したい。

元スペイン代表選手が主催、7人制サッカー「キングス・リーグ」とは?

「キングス・リーグ」は、かつてスペイン代表/バルセロナで選手として活躍したジェラール・ピケさんがチェアマンをつとめる、7人制サッカーの大会。

2022年にスペインで発足、2023年1月にリーグがスタート。エンタメ性を重視した独自ルールをはじめ、参加チームのオーナーに引退した名選手や人気ストリーマーが名を連ねるなど、スペインを中心に大きな反響を集めている。

基本的にTwitchやYouTubeでの無料配信を軸に展開。リーグ公式アカウントに加えて、チームオーナーのチャンネルでも配信される。

日本で例えるなら、人気のゲーム実況者やYouTuber、VTuberらインフルエンサーが、自らがオーナーとなったサッカーチームの試合を配信する、と言えばイメージしやすいかもしれない。

誰でもタダで見られる手軽さとエンタメ性の高さによって、サッカー離れが進む若年層の視聴者獲得に成功。現在、世界一同時視聴数が多いフットボールリーグともいわれる新たなスポーツエンタテインメントだ。

エンタメ性の高い「キングス・リーグ」の独自ルール

2023年3月に行われたリーグ戦の準決勝・決勝には、会場であるスペイン・バルセロナのスタジアムに9万人以上が集まった「キングス・リーグ」。

スペイン国内では、世界的有数の人気を誇る国内リーグ「ラ・リーガ」の人気をもしのぐとすらいわれている。

魅力の一つに、エンタメ性の高い独自ルールがある。サッカーより小さいコートでの試合は前後半20分、選手交代は無制限。上から落ちてくるボールを取り合う両端から中央のボール目指してよーいドンッ!など、キックオフの方法もユニークだ。

ほかにも、試合前に1枚カードを引き、好きなタイミングで発動できる「ゴールデンカード制度」という、カードゲーム的な要素も。「即PK獲得」「1分間得点が2倍」「相手選手を2分間退場させる」など、試合の展開を大きく変えることができる。

さらに、元プロ選手・現役選手を毎試合ゲストとして加えられるといった、これまでのサッカーの常識を覆す独特のルールが設けられている。

【キングス・リーグの主な独自ルール
・前後半20分ハーフ
・選手交代無制限
・キックオフは上から落ちてくるボールを取り合う
・シュートアウト
(センターサークルからドリブルしてキーパーと1対1で行うPKのようなもの)
・前後半18分にサイコロを降って出た目の人数で残り2分を戦う
・後半38分からは1ゴールで2得点
・秘密兵器となる「ゴールデンカード」(5種類)がある
(試合前に両監督にランダムで渡され、試合中に使用可能)

こうしたゲーム的要素とストリーマーらが自分のチャンネルで実況・配信することから、筆者はよくこのキングス・リーグ紹介に際して、「ゲーム実況×サッカー」と説明している。

日本との親和性もありそうな「キングス・リーグ」

言語的なハードルの高さもあり、日本では一部のサッカーファンにしか知られていない「キングス・リーグ」。とはいえ、そのフォーマットはストリーマー人気や配信文化が盛り上がる日本とも、親和性が高いかもしれない。

「キングス・リーグ」は現在、スペインと北中南米で展開されている。将来的に日本でも行われるのか、または日本発で新たなサッカーの形が生まれるのか。

どちらが早いかはさておき、日本でいうゲーム実況とサッカーの融合という、これまでにないスポーツエンタメの動向を注視したい。

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