2021年5月に発表されたQuadroinは、ペンギンのような特徴的なデザインで注目を集めた。モニタリングと調査用に設計された高速で操縦性の高いQuadroinは、EvoLogicsの低ドラッグバイオニック設計の専門知識を活用している。
EvoLogicsの創設者であるDr. Rudolf Bannasch、ペンギンの運動に関する長年の研究を掘り下げ、その結果、このAUVの卓越した流体力学的特性を生み出した。ドラッグの少ない形状により、Quadroinは最大10ノットの速度を達成し、エネルギー消費を最小限に抑え、多目的な展開を可能だ。
ヘルムホルツ協会のMOSESイニシアチブのためにヘレオンと共同で開発されたQuadroinのプロトタイプの初期シリーズは、海洋渦のモニタリングに重点を置いている。これらの車両には、水温、圧力、酸素、伝導率、蛍光など、さまざまな物理的水質パラメータに関する地理参照データを、さまざまな深度レベルで収集するためのセンサーが装備されている。
新世代のQuadroinは現在、拡張された装置ペイロードを搭載している。サイドスキャンソナーは、音響による海底イメージングが可能だ。さらに、調光可能なLEDライトを搭載した2台のフルHD水中カメラ(1台は45度の角度で前方を向き、もう1台は下方を向く)が、車両の周囲を視覚的に識別する。
新たに統合されたEvoLogicsのAI搭載物体認識モジュールにより、ミッション中にサイドスキャンソナーやビデオフィードの物体をライブで検出し、機体内で処理できる。また、フロント・ルック・ソナー・システムによる自動衝突回避も可能だ。
ハードウェアと推進システムは、最適なパフォーマンスを実現するために次世代コンポーネントで再設計された。Quadroinは現在、Nortek Nucleus1000統合海底ナビゲーション・パッケージを搭載しており、NortekのDVLテクノロジーと、信頼性の高い車両制御のための追加位置補助センサーを組み合わせている。
特徴
- 最大5m/sの高速性と機動性
- X字型に配置された4基の水平スラスターによる推進力
- 自動的に折りたたみ可能な多機能アンテナにより、地表での耐久性と通信範囲が向上
- WiFi、868MHz無線、GNSSを備えた地表通信モジュール
- S2CM18/34"ミニ"モデム内蔵、水中通信と測位用の流線型アンテナカバー付き
- 様々なセンサーや計測器用のペイロード容量
- ハイパワーフラッシュライトによる正確な位置特定とリカバリー