【台湾】ファウンドリー売上高、TSMCがシェア6割超[IT]

台湾の市場調査会社、集邦科技(トレンドフォース)が12日発表したリポートによると、2023年第4四半期(10~12月)の世界のファウンドリー(半導体の受託製造)上位10社の売上高は、前四半期比7.9%増の304億8,900万米ドル(約4兆5,000億円)だった。企業別売上高では、首位の台湾積体電路製造(TSMC)のシェアが6割を突破した。

TSMCの売上高は14.0%増の196億6,000万米ドルで、シェアは3.3ポイント拡大の61.2%となった。顧客側でスマートフォンやノートパソコンの在庫積み増しが進んだほか、人工知能(AI)関連のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の需要が拡大し、売上高を押し上げた。製造プロセス別では、7ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の割合が前四半期の59%から67%に拡大した。

TSMC以外の台湾企業は、聯華電子(UMC)が4.1%減の17億2,700万米ドルで4位に付けた。シェアは0.6ポイント縮小の5.4%。スマホやノートパソコン関連の緊急受注があったものの、車載半導体顧客の在庫見直しなどが影響した。

力晶積成電子製造(PSMC)は8.0%増の3億3,000万米ドルで8位となり、シェアは横ばいの1.0%。TSMC傘下の世界先進積体電路(バンガード・インターナショナル・セミコンダクター)は8.7%減の3億400万米ドルで、シェアは0.1ポイント縮小の1.0%となった。

集邦科技によると、第4四半期はスマホ顧客からの調達意欲が強く、パワーマネジメントIC(PMIC)などの受注が全体的に好調だった。米アップルのスマホ新機種向けに、同社のシステム・オン・チップ(SoC)「A17」などの出荷も増えた。

■通年は13.6%減

23年通年のファウンドリー上位10社の売上高は、前年比約13.6%減の1,115億4,000万米ドル。サプライチェーン(供給網)の在庫増や世界経済の低迷、中国市場の回復鈍化などが響いた。

集邦科技は24年について、AI関連の需要拡大に伴い、ファウンドリー上位10社の売上高は12%増の1,252億4,000万米ドルに上ると予想。TSMCは先端製造プロセスの受注が堅調に伸び、増収幅は業界平均を大きく上回るとみている。

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