欧州議会、包括的なAI規制法を可決 世界に先駆け

Foo Yun Chee

[ストラスブール 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)の立法機関である欧州議会は13日、世界初となる人工知能(AI)の包括的な規制法案を可決した。EU加盟国が5月に正式に承認し、2025年の早期に発効し、26年から適用される見通しだ。一部の条項はより早く施行される。

法案には523人の議員が賛成し、46人が反対、49人が棄権した。

起草から3年を要したが、その間に米マイクロソフトが出資するオープンAIの「チャットGPT」や、グーグルの「ジェミニ」などの生成AIシステムが産業や人々の生活に浸透。同時に、誤情報やフェイクニュース拡散への懸念も高まっている。

対象となる影響の大きい汎用AIモデルとリスクの高いAIシステムは、特定の透明性を満たしている義務と、EUの著作権法の順守が必要となる。

政府が公共でリアルタイムの生体認証を監視できるのは特定の犯罪、テロ攻撃などの真の脅威の防止、最も重大な犯罪の容疑者の捜査に限定される。

EUの行政執行機関である欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)は「欧州議会での圧倒的な支持を歓迎する。欧州は今や、信頼できるAIにおいて世界的な模範となった」などとコメントした。

法律事務所クーリーのパートナー、パトリック・ヴァン・エーケ氏は、世界の他の諸国・地域もEUのAI規制法を青写真として利用するだろうと述べた。

規制法によると、違反の種類に応じて、750万ユーロ(もしくは世界売上高の1.5%)から3500万ユーロ(同7%)の制裁金が科される。

ロビー団体ビジネスヨーロッパは、規制が実際にどのように適用されるのかに懸念を表明。マーカスJ.バイアー事務局長は「法的な確実性や解釈に不安がある」とした。

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