学生時代に納めなかった国民年金。さかのぼって払うほうがお得?

おはようございます。ファイナンシャルプランナーの稲村優貴子です。

この連載では、『朝のスキマ時間に学ぶ♪家計管理・お金の基本』というテーマで、お金にまつわるコラムをお届けします。

払うべき?大学生の時に納めなかった年金

日本に住所のある20歳~60歳未満の人は、すべて「国民年金」に強制加入となります。

20歳というと大学生が多く、一カ月1万6,520円(2023年度)を支払うのは厳しいこともあります。そのため「学生納付特例制度」があります。

これは、本人の前年の所得が一定以下の場合、住所を管轄する年金事務所で所定の手続きをすることで納付を猶予してもらう制度で、10年前までさかのぼって納付(=追納といいます)できます。

そのため、私のところには、社会人になって納付の書類が届いてから払った方がいいのか、そのまま払わないでいいのか、というご相談がよく届きます。

未納がある場合の減額は?

国民年金は20歳から60歳までの40年間つまり480ヶ月払うと65歳から79万5000円(2023年度)もらえます。

年金保険料ももらえる年金額も毎年改定されるため、今回は2023年度の水準で計算してみましょう。

大学生の時20歳から22歳までの24カ月未納だとすると、20歳から60歳までの480ヶ月のうち24カ月分が未納となります。

24/480=0.05となり、5%の年金が減額されることになります。

2023年の水準で考えると、79万5,000円×5%=3万9,750円。つまり、年額約4万円年金額が少なくなってしまいます。

2年間未納した場合のシミュレーション

同じ2023年度の水準で、次は支払う金額で考えてみましょう。

1ヶ月の年金保険料1万6,520円×24ヶ月=39万6,380円で、2年で約40万円。未納の場合年額4万円貰える年金額が少なくなることを考えると、65歳から10年以上年金をもらえば、その段階で元が取れることになります。

直近の調査で女性の平均寿命は約87歳、男性は81歳ですから、一般的な寿命をまっとうすると考えると支払った方がいいでしょう。

しかし、その40万円を40年資産運用していき、老後資金にした方が増やせるのでは…と考える方もいらっしゃいます。

この場合は、年金と違って老後を待たず自由に使えるため、それもアリかもしれません。しかし、運用で利益が出ない可能性も当然ありますね。

まとめ

以上のように、未払い分の年金を納めたほうが得かどうか、明確にはわかりません。時期や人によっても違ってきます。

猶予してもらっている保険料による影響を理解したうえで、納付するかどうかシミュレーションしながら検討してみてください。

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