ECB、金融政策の新たな運営枠組みを発表 膨張資産を圧縮

Francesco Canepa

[フランクフルト 13日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は13日、金融政策運営の新たな枠組みを発表した。金融システムや融資を混乱させないようにしながら、これまでに膨張したECBの資産を緩やかなペースで圧縮することを目指す。

銀行間預金のインセンティブを高め、リスクを抑えるためセーフティネットも提供する。

低水準のインフレ率が10年近く続いた中でECBは銀行に融資拡大を促し、物価上昇をもたらすために大規模な債券購入を通じて銀行に大量の現金を供給していた。しかし、高インフレとそれに伴う政策金利の上昇を背景に、新たな局面に適応する必要が出ていることが新たな枠組みの背景にある。

ラガルドECB総裁は「今回の枠組みは私たちの政策の実施が今後も引き続き効果的で、堅固かつ柔軟、そして効率的であることを保証するものだ」との声明を出した。

ECBはまた、新たな枠組みはECBのバランスシートを財政的に健全なものにするとし、それが中銀の独立性を支え、金融政策の円滑な実施を可能にすると説明した。

ECBは銀行間金利を、銀行が中央銀行に預ける際の中銀預金金利(現在は4%)の「近辺」に維持することを目指す。これにより、ECBが単独で銀行システムに資金を供給するだけではなく、銀行間の貸し出しの割合を高めることを目指す。

ECBは2029年までは銀行部門全体が必要以上の準備金を保有することになると見込んでいるが、アナリストは、一部の銀行にとって流動性は26年にも制約されると予想している。

銀行は引き続き、ECBが毎週実施する主要リファイナンスオペ(MRO)や長期リファイナンシングオペ(LTRO)で満額供給を受けられる。

MRO金利と預金ファシリティー金利のスプレッドは15ベーシスポイントに縮小される。変更は9月18日から実施。

最低預金準備率は1%に据え置かれた。

ECBはまた、銀行の借り入れによってバランスシートが再び拡大し始めたと判断した時点で、気候変動への配慮を盛り込んだ長期融資や債券買い入れオペを開始する予定。

ECBは今回の枠組みを2年後、または必要に応じてそれよりも早く見直す予定だ。

コメルツ銀行のチーフエコノミスト、ヨルグ・クレーマー氏は「基本的にECBは流動性が過剰なシステムを堅持しており、長期的に多くの債券を保有するだろう。金融危機の終結から15年を経て、もっと正常な状態をもたらすこともできたはずだ」と述べた。

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