「乗り納め」和倉に続々 サンダーバード15日廃止 「最後の姿を目に」列車や線路撮影

「サンダーバード」の車両を撮影する愛好者=七尾市の和倉温泉駅

 北陸新幹線敦賀延伸に伴って15日で廃止となる和倉温泉駅(七尾市)発着の特急「サンダーバード」を撮影しようと、全国のファンが続々と和倉に押し寄せている。駅舎や線路沿いでレンズを向ける人が目立ち、先週末は駅前にある土産店なども混雑。能登半島地震の影響で入り込みがぱったりとやんでいた湯の街をにぎわせている。

 廃止前最後の日曜となった10日、和倉温泉駅着のサンダーバードは午前、午後の各1便とも満席だった。駅に降り立ったのはリュックサックとカメラを持った愛好者たち。初めて和倉を訪れたという長野県安曇野市の会社員辻本海帆さん(20)は「サンダーバードの最後の姿を目に焼き付けかった」と話し、車両や線路に向けてシャッターを切った。

 JR西は16日以降、大阪―和倉温泉のサンダーバード直通便をなくす一方、金沢―和倉温泉を走る「能登かがり火」を1往復増の5往復とする。群馬県太田市から訪れた会社員三浦祐慧さん(22)は「北陸新幹線開業で沸く一方、なくなる列車があるのは寂しい。復興したらまた訪れたい」と語った。

 サンダーバードと能登かがり火の車両は同じで、現在は和倉温泉駅に乗り入れた後、車両の表示が「サンダーバード」から「能登かがり火」に切り替わる。鉄道ファンの中には、その瞬間を撮影する人もいた。

 和倉温泉駅前にある土産店「掘井商店」の堀井敏江さんは「たくさんの人が乗りに来てくれてうれしい。大阪直通の特急がなくなるのは心配だが、一日も早く復興して観光客を迎えたい」と話した。

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