西武、覇権奪回へのカギは松井稼頭央監督の野手運用? 昨季見せたゆとり運用で得点力アップなるか

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若手4人による三塁レギュラー争い

ヤクルトからトレード加入した西武の元山飛優内野手が、開幕一軍入りへ打撃で猛アピールを続けている。12日に行われた中日とのオープン戦(ベルーナドーム)に「6番・三塁」でスタメン出場し、2打数2安打。オープン戦の打率は.455まで上昇するなど、打ちまくっている。

西武の内野陣は、鉄壁の守備を誇る源田壮亮、外崎修汰の二遊間コンビが不動のレギュラー。一塁は新助っ人のヘスス・アギラーが収まることが確定的で、空いているのは三塁のみの状況。本職は遊撃の元山だが、好調な打撃を生かしてこのまま新たなポジションで開幕スタメンを掴む可能性が日に日に高まっている。

ただ、既存のメンバーも黙っていない。昨季後半に三塁ポジションでスタメン出場を続けた佐藤龍世に、今季育成からの下剋上を目指すブランドンがキャンプからしのぎを削る。さらに、体調不良でキャンプはB班スタートだった渡部健人もオープン戦で本塁打を放つなど打撃好調だ。

残された内野の「1枠」をめぐり、若手のアピール合戦が激しさを増している。昨季はいずれもリーグワーストとなる435得点、90本塁打と、打撃陣が振るわなかった。今季巻き返しへ得点力アップが至上命題となっている中、この熾烈なレギュラー争いは松井稼頭央監督にとってもうれしい悲鳴だろう。

野手のゆとり運用で得点力アップ?

一方で、レギュラーになれるのは4人の中で1人のみで、残りの3人はベンチを温めることになる。この余剰戦力をどう運用していくのか、悩みどころだ。そこでヒントにしたいのが、昨年ロッテが見せた遊撃手の運用だろう。

ロッテは2018年から藤岡裕大がレギュラーを務めていたが、負担の多いポジションということもあり、1年通じての活躍がなかなか難しかった。そこへ新人の友杉篤輝が昨季加入。レギュラーの座を競わせることもできたが、吉井理人監督は2人の出場機会を分け合うことで互いのコンディションを保つことに注力。結果として藤岡、友杉ともに攻守両面で躍動した。

現在レギュラーを争う西武の4人は三塁のほかに、渡部とブランドンは一塁、佐藤は一塁と二塁、元山に至っては内野全ポジションを経験。レギュラーが決まっているアギラー、外崎、源田はいずれも30代で、1年間戦う上でコンディションに配慮する必要があるだけに、この「ゆとり運用」で選手たちのパフォーマンスを最大化したいところだ。

実は、松井監督も昨季、選手のコンディションを意識した采配を見せていた。6月8日の中日戦で源田を「1番・DH」で先発起用したのだ。源田はこれが通算780試合目の出場だったが、DHでのスタメンはプロ7年目で初めて。WBCで右手小指を骨折した源田は5月26日に昨季初出場したばかりで、9連戦の6試合目で体への負担を考慮しての起用だった。

「ゆとり運用」がうまくいけば、コンディション維持と出場機会を両立でき、一石二鳥。課題の得点力アップも十分に見込めるだろう。昨季5位からの巻き返しへ、指揮官の野手運用が大きなカギを握ることになりそうだ。



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