雅子さま ご親族が次々と体調不良で直面する「皇室の高齢化」…問われるご公務の“存在意義”

2019年12月には、東日本大震災の被災地である宮城県と福島県を日帰りで訪問された /(C)JMPA

天皇陛下と雅子さまは、皇居・宮殿の玄関で、「またお会いしましょう」と見送られていた。3月8日、ブルネイのビラ皇太子夫妻を昼食会に招かれた両陛下。和やかな雰囲気に包まれつつも、終始国民を思うお気持ちが表れていたと、宮内庁関係者は振り返る。

「昼食会では、能登半島地震についても話題が及びました。震災後にブルネイのボルキア国王から送られたお見舞いに謝意を示され、両陛下は皇太子夫妻に輪島塗の宝石箱などを贈られたそうです。国際親善の場でも、被災地を応援したいご意思をはっきりと表明されたのです」

国際親善にとどまらず、皇室の方々は“国民と共に歩む”ため、さまざまなお務めに日々臨まれている。しかし、数多くの公務を担われる皇族の高齢化という現実に、両陛下は直面していた。

「3月3日に、昨年100歳となられた三笠宮妃百合子さまが、脳梗塞症の疑いと誤嚥性肺炎との診断を受け、都内の病院に入院されたのです。

寬仁親王妃信子さまも、白内障などの手術を受けられ退院したばかりですし、また昨年は常陸宮さまも尿管結石の手術を受けられました。さらには、昨年末から紀子さまのご体調不良も続いている状況で、秋篠宮さまも最近おやつれになったようにお見受けします。

みなさま大事には至っていないとはいえ、続出するご親族の体調不良に、両陛下は心を痛められています」(皇室担当記者)

皇族の高齢化は、将来的に皇室の活動が立ち行かなくなる事態につながりかねない“危機”なのだ。

「陛下は64歳のお誕生日に先立つ記者会見で、皇室と国民が信頼関係を築くためには、“心の交流”を重ねる必要性があると語られつつ、皇族方の高齢化や減少に対する危機感を述べられています。このまま手を打たなければ、高齢化や女性皇族の結婚によって、皇族数は減り続ける一方です。必然的に信頼関係を築くための機会が失われてしまいかねず、両陛下も懸念を深められているのです」(前出・皇室担当記者)

■“高齢化”で問われるご公務の存在意義

そして陛下と雅子さまは、皇室の将来のため、“改革”にも思いを巡らせていると、前出の宮内庁関係者は明かす。

「陛下は皇太子時代から、『時代に即した新しい形の公務』と繰り返し語られています。オンラインによるご交流や国際親善の場での和食提供など、さまざまな改革を断行されてきました。さらには、ご公務そのものの削減や見直しについても、陛下と雅子さまは果敢に着手される強いお気持ちがあるというのです」

両陛下を筆頭に皇室の方々が担われるご公務は、全国各地へのご訪問、日本と世界の絆を強める国際親善、名誉職を務める団体の式典へのご出席——など、多岐にわたる領域で国を支え、国民との“接点”にもなってきた。

「しかし、皇室全体のご公務の数は、一部報道によると2023年9月から11月にかけて337件。これまでも見直しが図られてきましたが、高齢化するみなさまのご負担を大きく軽減できていません。

こうした現状からも、両陛下による主要な地方ご公務にあたる“四大行幸啓”のひとつに位置付けられ、“国体”と呼ばれる国民体育大会(2024年からは国民スポーツ大会)へのご臨席にも、関係各所から見直しの声が上がり続けています」(前出・皇室担当記者)

スポーツ振興や各地の施設整備などを目的に1946年に始まった国体は、昨年11月に開かれた全国知事会でも、政府に対して見直しの声が上がっていた。前出の宮内庁関係者も、

「第1回大会から半世紀以上たち、すでに全国のスポーツ施設は充実していることから、全国知事会が開催の是非について問題提起をしたのです。

また戦後の荒廃した国土の緑化のために1950年に始まった全国植樹祭についても、“当初の目的は果たせているのでは”と、宮内庁内で指摘され続けています。

公務の多くは省庁や都道府県など幅広い組織が関わり、削減は簡単なことではありません。しかし両陛下は、皇室が直面する問題にどのように対処するか、慎重にご思慮を重ねられているようです」

皇室と同じように英王室でも、先月チャールズ国王にがんが見つかったことに端を発して、“公務の担い手不足”に直面している。ジャーナリストの多賀幹子さんはこう話す。

「英王室ではキャサリン皇太子妃も腹部の手術を受けて療養中で、ウィリアム皇太子も一時公務から離れる状況がありました。しかしチャールズ国王は、複数の王室メンバーを、公務を代行できる『国務参事官』に任じるなどの対策をとっています。

国王はいくつかの公務も中止にはせず“延期”という形を取っていますが、王室が国民の期待を裏切ってはならないという思いが強いからなのでしょう」

こうした姿勢は、日本の皇室にも通じるものがあるのだろう。静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、

「両陛下をはじめ皇室の方々は、東日本大震災など災害に苦しむ国民を励ますため、被災地に赴かれてきました。特に両陛下は、今月下旬にも能登半島を訪問されます。困窮する人々に寄り添われることを目的にしたご公務は、これからも皇室が果たすべき大切なお務めといえるでしょう。

ただご公務のなかには、それぞれ歴史や個性がある一方で、慣例化して出席されているだけのような式典や、国民生活と文化の向上に役立っているのか見えにくい行事があるのも事実です。ご公務が果たす社会的な役割に向き合われながら、再編成されるべき時期に差しかかっていると思います」

皇族の高齢化という問題と闘われながら、「もっと苦しむ国民の元へ」というご決意を固められている雅子さま。陛下とともに、これからも奮闘されていく。

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