知人の「髪、バッサリ切った!」にどう返す?…コミュニケーション強者が「絶対言わない」NG発言

(※写真はイメージです/PIXTA)

人によって価値観は異なります。「自分の見たまま」「思ったまま」を言葉にすると、相手の気分を害したり、誤解を与えたりすることも…。相手に悪くとられないようにするには、どんな伝え方をすればよいのでしょうか? 齋藤孝氏の著書『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。子どものみならず、大人の表現力やコミュニケーション力の向上にも役立つ内容です。

【NG】髪型を変えた子に「前の方がよかった」と伝えた

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<シチュエーション>

アルパカさんとイヌさんは、好みが一緒で気が合う友達。似たような髪型や服装をして、「おそろいだね」と確かめ合うのを楽しんできました。

ところが、ある日イヌさんが髪型を変えてきて、アルパカさんはビックリ! 「一緒じゃなくなっちゃった」「前の髪型が好きだった」という残念さもあったので「あれ!?」と言ってしまいました。間違いに気づき、「前のほうがよかったのに」とつけ加えましたが、イヌさんは「似合っていないのかな…」と気にするようになってしまいました。

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[図表1]否定するつもりはなったけれど…① イラスト:森のくじら 出所:齋藤孝著『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

[図表2]否定するつもりはなったけれど…② イラスト:森のくじら 出所:齋藤孝著『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

【解説】

新しく始めたこと、前と変えたことは、相手がこれからの変化を期待してやっていることなんだ。大きく印象が変わったらビックリすることもあるけれど、チャレンジする姿勢も素敵だよね。何かを評価する時は、必ずポジティブ(前向き、肯定的)な言葉を使うように心がけよう。

言い換えのコツ

①変化の前後を比べない

⇒あなたに残念な気持ちがあっても、あえて伝える必要はないよ。前と比較してどちらがいいかではなく、どちらもいいと伝えよう(図表3)。

[図表3]変化の前後を比べない イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

②ポジティブな評価だけを伝えよう

⇒「今」の相手のいいところを探して伝えよう(図表4)。本書『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』108ページからのSTEP3「ほめポイント探しトレーニング」も参考にするといいよ。

[図表4]ポジティブな評価だけを伝えよう イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

【アドバイス】相手の気持ちを考えて「言わない」ことも大事

相手の変化について何かを伝える時は、ポジティブな言葉を選ぶよう心がけようね。でも、相手が「見て見て! どう?」と積極的に話しかけてこない時は、自分でも変化が気に入っていないか、不安に思っている可能性もあるよ。そういう時は、相手の様子をうかがってみよう。

「髪を切ったんだね」と話してみて、「そうなんだ! どう?」と返ってきたら、ポジティブな言葉で一緒に盛り上がろう! もしも「切り過ぎちゃったかな」と返ってきたら、「そうかな? 私はいいと思うよ!」など、相手が安心できる伝え方ができるといいね。

「そのことは言わないで!」など気にしている様子なら、「そういえば…」と話題を変えてふれないようにするのも、相手のことを考えた対応だよ。

言い換えにチャレンジ

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<シチュエーション>

その子は前から髪を伸ばしていて、みんな長い髪が素敵だと言っていました。でもある日、髪の毛を寄付するためにバッサリと切ってしまいました。

「もったいないよ! きれいな髪だったのに」…この言葉を、前項のコツ①②を踏まえて言い換えてみましょう(回答例は図表5)。

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【ポイント】決断の理由に注目しよう

相手の変化には、何か理由や決断があるはずだ。それを聞いてみよう。その理由に対して、あなたが感じたポジティブな気持ちを伝えるのもいいね。変化や理由に相手が納得できていないようなら、話題を変えてもいいよ。

[図表5]回答例 イラスト:森のくじら
出所:齋藤孝著『「表現力」に差がつく!12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』(日本能率協会マネジメントセンター)

齋藤 孝

明治大学文学部教授

1960年静岡県生まれ。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著書に『語彙力こそが教養である』『小学3年生から始める! こども語彙力1200』(いずれもKADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『声に出して読みたい日本語』(草思社)、訳書に『現代語訳 論語』(ちくま新書)、『12歳までに知っておきたい語彙力図鑑』『12歳までに知っておきたい言い換え図鑑』『12歳までに知っておきたい読解力図鑑』(いずれも日本能率協会マネジメントセンター)など多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

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