円周率(3月14日)

 「3.14」と聞くと、どこまで覚えられるか、頭をめぐらせた思い出がよみがえる。きょう3月14日は円周率にちなみ、数学の日だ。直径が1の円の周りの長さを示し、正確には3.141592…と永遠に続く無理数となる▼円周率の3.14を導き出したとされるのは、古代ギリシャの物理学者アルキメデス。職人が作った王冠が純金かどうか。傷付けず確かめるよう王様に命じられた。その王冠と、それと同じ重さの純金を用意し、別々に水槽に沈めた。王冠の方がたくさん水がこぼれ、混ぜ物が入っていると見破った。体を沈め、あふれ出た風呂の湯から実験の発想が湧き、浮力の原理は発見された▼自民党派閥の裏金問題を受けた政治不信は、国民に底深く沈殿したままだ。共同通信社の世論調査で、衆院の政倫審に出席した議員が「説明責任を果たしていない」との回答は9割を超えた。本来、透明であるべき政治資金には、市井には見えぬ特別な「混ぜ物」が含まれていたのか▼政倫審はきょう、参院に場が移る。闇に包まれた裏金の真相が完全解明されなければ、政権浮揚という難題の答えは、いつまでたっても見えてこない。果てのない円周率のように。<2024.3・14>

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