常滑で総合産業展示会「SMS」開幕 40ヵ国、250企業・機関が参加

来場者でにぎわうSMS会場

 欧州最大級の総合産業展示会の日本版として、国内初開催となる「スマートマニュファクチャリングサミット(SMS)」が13日、愛知県国際展示場(常滑市)で開幕した。日欧を中心に約40カ国から約250の企業や政府関係機関が参加。情報技術やロボティクス、AI(人工知能)の先進技術を駆使した最先端のDXソリューションを来場者に訴求した。

 トヨタ紡織は、人が近づくと追従し、混雑を避けた施設内のおすすめルートなどを案内してくれるロボットサービスをお披露目した。同社は自社開発の「行動・属性可視化システム」を用いて中部国際空港と愛知県国際展示場の施設間の来場者の行動や属性情報を可視化している。このシステムで得られたデータと自律走行ロボットを連動させた。バスの乗客の属性に合わせた映像や音響を提供するデジタルコンテンツバスも走らせた。

 開発を主導した山内克仁車室空間企画領域主査は「車のインテリアにとどまらず快適な空間の提供に事業領域を広げ、施設向けサービス事業を強化していきたい」と意気込む。

 会場では、ウクライナの自動車部品の業界団体「ウクライナ・オートモーティブ・アンド・モビリティ・クラスター(UAMC)」の出展も注目を集めた。担当者は「ウクライナ西部地域はロシア侵攻の影響も少ない。安全なことを知ってもらい、工場誘致や取引拡大につなげたい」と語る。
 製造業の人手不足の問題を解決するための自動化装置の展示も目立った。自動車用駆動系部品を主力とする武蔵精密工業は、トランスミッションなどに使われる精密歯車のAI検査装置を展示した。すでに自社工場で採用し、大手自動車メーカーへの外販実績もある。開発者は「人の目だと1個につき3分かかる検査工程が、装置を使えば30秒に短縮できる。品質向上と生産性向上につながる技術だ」とし、拡販を狙う。

 SMSは仏のイベント運営会社、GL events Venues(ジーエルイベンツ)主催。15日までの会期中に国内外から1万5千人の来場を見込んでいる。

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