「フルーツ・ステーション」予算案を否決 県議会常任委、知事「再議」へ

2024年度一般会計当初予算案を否決した県議会農林水産常任委員会=県議事堂

 県議会農林水産常任委員会は13日、県産果樹情報発信拠点「フルーツ・ステーション」関連事業費を計上した2024年度一般会計当初予算案を賛成少数で否決した。予算案に反対した最大会派・自民党は関連事業費を削除した修正予算案を提出し、15日の本会議に諮られる。自民は県議会で過半数を占め、修正案が可決される見通し。その場合、吉村美栄子知事は審議のやり直しを求める「再議」を申請するとみられる。

 常任委での予算案否決は1947(昭和22)年の地方自治法施行後、山形県議会で初めて。

 同常任委は相田光照委員長を除く委員6人による採決を行い、賛成3、反対3の同数で、委員長裁決で否決した。採決前に各委員が意見を述べ、自民側は「施設整備による農業者のメリットが見えにくい」「生産者や市町村によるネットワーク構築が先だ」などと反対した。第2会派・県政クラブ側は「否決されれば果樹農家の生産意欲が減退しかねない」「県は方針を(基本計画の策定延期という)修正している」などと賛成した。

 県議会の構成(定数43)は自民26、県政ク14、共産党2、公明党1。常任委での予算案否決を受け、本会議で自民の修正案が可決されれば、吉村知事は再議で応じる見込み。再議を受けて修正案は改めて審議され、賛成には、過半数ではなく、議長を含む出席議員の3分の2以上が必要になる。

 県は、果樹生産振興や県産果実のブランド力強化などを目的に、民間活力を導入して寒河江市の県最上川ふるさと総合公園にフルーツ・ステーションを整備する方針。併せて県内各地の拠点整備を促し、ネットワーク形成を目指す。24年度当初予算案では、施設の設計・整備や運営の事業者公募準備、ネットワーク化の調査検討など4854万円を計上している。

知事「大変残念だ」

 県議会農林水産常任委員会での予算案否決を受け、吉村美栄子知事は13日、県庁で報道陣に対し「大変残念だ。いろいろな意見があることは承知しているが、一つ一つ丁寧に説明を尽くしてきた」と語った。

 吉村知事は県産果樹が本県の強みである一方、高齢化や担い手不足などの課題に直面しているとし「前向きに、将来に希望を持って生産に取り組んでもらえるような施設整備に取り組みたいと申し上げてきた」と強調した。今後の対応については「議会の動向も見ながら、速やかに検討する」と述べるにとどめた。

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