地域とタッグ、新たな部活動の形模索 長井北中・総合文化部、祭り看板制作

「あやめまつり」の看板制作に励む総合文化部のメンバー=長井市・長井北中

 長井市の長井北中の総合文化部が、地元の人や行政、企業とタッグを組んで新しい活動の形を模索している。外部講師の協力も得ながら、地元の祭り看板や農産品のラベルデザイン作りに挑戦しており、中学校の部活動を民間団体に委ねる「地域移行」へのつながりも期待される。生徒は「地域おこしに貢献でき、やりがいを感じる」と意欲を高めている。

 新たな活動を提案したのは、同市出身で企画・デザイン業の佐藤拓也さん(47)=東京在住。昨春同部に娘が入ったのが縁で、部活の枠を超えて地域と共創する方法を考え始めた。市内のそば店「縄文そばの館」のプロデュースなどを通じて培ってきた人脈を生かし、仲間とチームを立ち上げ変革に乗り出した。

 昨年9月に部員へ行ったアンケートでは「全員で共同制作したい」「描いた絵を売ってみたい」「大学や展覧会に行きたい」などと斬新な意見が出た。佐藤さんらは部員のアイデアを企画書に落とし込み、実現に向けて市や市教委、観光協会などの職員と話し合いを重ねてきた。

 現在は梅雨の時季に市内で毎年開かれる「あやめまつり」の看板を制作中。地元のすずき看板の鈴木清隆会長からアドバイスを受け、部員全員で1枚の絵柄を仕上げている。11日は部室で、紫色の濃淡が美しい花々や、空中に色とりどりの傘をつるした「アンブレラスカイ」を描き上げた。部長の2年松木晴南さん(14)は「来場者にまた来たいと思ってもらえるような看板を作りたい」と意気込む。

 佐藤さんは「自分の好きなアートを通じて誰かの幸せや感動につながる経験をしてほしい。世代を超えた交流で地域の文化振興にもつなげていきたい」と話している。

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