北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した童子の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

 【新華社太原3月14日】中国山西省考古研究院はこのほど、同省大同市平城区で仏塔を中心とする北魏時代の寺院遺跡を発見したと明らかにした。官営寺院か皇室ゆかりの寺院だったと推測されるという。

 大同市考古研究所が国家文物局の認可を受け、昨年6~8月に同遺跡の緊急発掘調査を行い、重要な収穫を得た。同研究所の李樹雲(り・じゅうん)副所長によると、遺跡の中心部には1辺16メートルの正方形に近い北魏時代の塔基(土台)があった。基壇は土を幾層にも突き固める版築(はんちく)構造で、北側部分が現存しないものの、外側部分には細かい黄土で作られたれんがが用いられ、保護と美化のため石灰のしっくいが塗られていた。

北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した菩薩の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

 基壇の東側、南側、西側の3面には柱の礎石が規則正しく配列され、回廊構造を形成していた。塔基の南側でも東西方向に3列に並ぶ柱の礎石が見つかったことから、塔基の南側部分が元は建物だったことが見て取れる。発掘区域周辺の調査では塔基の北、西の区域でそれぞれ建物の遺構が見つかっており、同遺跡が仏塔を中心とする寺院遺跡であることを表している。塔基の中央部分に正方形をした埋蔵用の穴があり、穴の外に真珠が散らばっていたほか、穴の底から真珠やサンゴ、銅の指輪などが出土したことも注目に値するという。

 仏塔が倒壊した際に積み上がったと見られる大量の瓦やれんがのかけら、塑像の残骸、粘土を焼き固めた「紅焼土」なども見つかっている。塑像は主に泥質のもので、ほとんどが小さい浮き彫りの塑像「影塑」だったが、眼部の断片2点から、塔内に大型の仏像も安置されていたことがうかがえる。保存状態が比較的良好な頭像や身像は200点余りあり、仏や菩薩、弟子、童子、飛天、瑞獣をかたどったものだった。倒壊による堆積物の中には彩色が施されたしっくいもあり、塔に壁画が描かれていたものと推測される。一部の塑像には彩色や金箔(きんぱく)が残っており、北魏時代の仏塔装飾が美しくきらびやかだったことを物語っている。

北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した菩薩の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

 平城(現在の大同)に都を置いた北魏平城時代(398~494年)のものと見られる鉄のよろいの残片も初めて見つかった。多くは長方形でひどくさびていたが、修復の結果、いずれも上部に穿孔(せんこう)があることが分かった。

 李氏は「大同でこれまで見つかった中で、最も構造がはっきりしている塔基遺跡。北魏平城時期の仏塔建築形式を研究する上で重要な実物資料がもたらされた」と説明。北魏宮城遺跡からわずか300メートル余りの場所にあり、出土した塑像の作りが精巧で生き生きとした造形であることから、元は官営寺院か皇室ゆかりの寺院だったことが推測されると語った。(記者/王学濤)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した弟子の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した彩色が施されたしっくい。(資料写真、大同=新華社配信)

北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した菩薩の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した菩薩の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

北魏時代の仏教寺院遺跡を発見 中国山西省大同市

大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した仏頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した鉄のよろいの残片。(資料写真、大同=新華社配信)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した菩薩の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

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大同市平城区の北魏寺院遺跡から出土した童子の頭像。(資料写真、大同=新華社配信)

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