落とし物、最多更新31万9470件 23年、茨城県内 現金3億円超、動物700点

水戸署に拾得物として届けられたホウセキカナヘビ=2023年6月、同署

昨年1年間に茨城県内の警察署や交番に届けられた落とし物(拾得物)が31万9470件に上ることが13日、県警のまとめで分かった。3年連続の増加で、統計を取り始めた2008年以降で最多を更新した。県警会計課は「なくしたからといって諦めず、遺失届を出して」と呼びかけている。

同課によると、落とし物で届けられた現金総額は、前年比約2108万円増の約3億2424万円。持ち主に返還されたのは全体の約6割に当たる約2億93万円。持ち主が判明しなかった約5479万円は拾い主に引き渡された。持ち主が判明せず、拾い主も所有権を放棄した約7千万円は県の収入となった。

1件当たりの最高額は400万円。県央地域の店舗に置き忘れた巾着袋の中から発見され、持ち主が見つかって返却された。ほかに100万円以上の落とし物は9件あった。

物品では計38万5529点の届け出があり、最も多かったのは運転免許証などの証明書やカード類の10万5275点。次いで多かったのはハンカチなどの生活用品類で4万5874点、電車の定期券やプリペイドカードなどの有価証券類は3万4803点だった。持ち主に返還されたのは半数未満の15万8336点にとどまった。

動物も拾得物に扱われ、昨年は695点の届け出があった。犬の368匹が最多で、猫は134匹だった。拾われた動物のうち、珍しい動物は、欧州に生息するとみられるトカゲ「ホウセキカナヘビ」。水戸市内の住宅で昨年6月、住民がブロック塀の上にいるのを発見し水戸署に通報。保管期限を過ぎても持ち主が現れなかったため、爬虫(はちゅう)類好きの同署員に引き取られた。

落とし主が提出した遺失物届の件数は前年比5175件増の6万3182件で、拾得物の届け出件数の約2割にとどまった。

県警はホームページで、各署が保管する落とし物の検索と遺失物届の申請ができるサービスを提供。同課は「所有者が分からないケースが多い。落とし物をした人は利用してほしい」としている。

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