42歳で年収「280万円」です。暮らしていけないので「生活保護」は受けられますか? これから転職も難しいと思います…

生活保護の支給要件とは?

生活保護は、「生活保護法」という法律に基づいて制定されている社会保障制度です。同制度では、生活に困窮する国民に対して、国が困窮度に応じた支援を行います。支援の種類は、生活、住宅、教育、医療、介護、出産、生業、葬祭の8種類の扶助です。

この中から、それぞれの人に必要な支援が行われます。多くの人が「生活保護」と聞いてイメージするのは生活扶助でしょうか、食費や光熱費などの日常生活に必要な費用が支給されます。

なお、生活保護は、生活に困窮していれば誰にでも支給されるわけではありません。生活保護が支給されるためには、まず預貯金や生活に使っていない不動産などを活用したり、売却したりする必要があります。そのうえで、働ける人は、その能力に応じて働くことが求められます。

また、生活保護以外の制度の利用や、扶養義務者の援助が可能かどうかを、生活保護を申請する前に確認することも必要です。これらの要件を満たしたうえで、収入が国(厚生労働省)が定める「最低生活費」に満たない場合に、生活保護が支給されます。この場合の支給額は、収入と最低生活費との差額分になります。

最低生活費とは?

国が最低生活費を定める場合には、生活扶助ととともに、賃貸住宅の家賃が支給される「住宅扶助」が重要視されています。これは、物価とともに、家賃相場も地域によって異なるためです。そこで、国は各地域を6つの「級地」に区分したうえで、それぞれの地域に応じた最低生活費を定めています。

級地は、「1級地-1」「1級地-2」「2級地-1」「2級地-2」「3級地-1」「3級地-2」の6区分です。「1級地-1」の最低生活費が最も高く、等級が下がるに従って同生活費も下がります。

なお、関東を例にすると、「1級地-1」には、東京23区が該当します。「1級地-2」に該当するのは、神奈川県相模原市などです。「2級地-1」は東京都あきる野市が該当します。「2級地-2」に該当するのは、茨城県日立市などです。「3級地-1」には、千葉県銚子市などが該当します。「3級地-2」に該当するのは、埼玉県川島町などです。

では、それぞれの級地で、42歳で年収が280万円の場合に、生活保護は支給されるのかどうかをみていきましょう。

42歳で年収280万円の場合、生活保護は受けられるのか?

生活保護が受けられるかどうかは、級地に年齢や世帯員数などを加えた最低生活費によって決まります。では、それぞれの級地に暮らす、42歳で年収280万円の単身世帯の最低生活費はどうなっているのでしょうか。令和5年10月以降の生活保護基準で算出してみます。

・それぞれの級地の最低生活費

「1級地-1」は13万940円、「1級地-2」は12万8010円、「2級地-1」は11万7430円、「2級地-2」は11万6460円となっています。また、「3級地-1」は11万980円、「3級地-2」は10万8640円です。

・42歳で年収280万円の単身世帯には生活保護は支給されない

42歳で年収280万円の場合の給与は月額約23万円のため、すべての級地で最低生活費を上回っています。そのため、どの地域でも生活保護は支給されない可能性が高いでしょう。

あきらめずに転職を目指すか、副業を検討しよう

働いていて一定の収入があっても、生活保護は支給されることが分かりました。ただし、収入がある場合は、その収入が最低生活費を下回っていなければいけません。本記事で算出したように、42歳で年収「280万円」の単身世帯の場合は、どの地域においても生活保護を受けるのは難しいでしょう。

そのため、生活を改善するためには生活費の見直しや、収入アップを目指すことが大切です。多少通勤が不便になっても賃金の高い地域で働いたり、副業を探したりなど、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
厚生労働省 級地区分

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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