年金が「月4万円」です。これまで保険料をあまり払えていなかったのですが「年金生活者支援給付金」は受け取れるでしょうか…?

そもそも年金生活者支援給付金とは

年金生活者支援給付金は年金での生活が苦しい人を支援する制度です。公的年金などの収入やそのほかに得ているお金が一定の基準以下である年金生活者は、年金に上乗せして給付金を受け取れます。

年金生活者支援給付金には3つの種類があり、各種類に定められた支給要件を満たしていれば保険料の未納などがあっても給付金を受け取ることは可能です。給付金の種類によって給付額の計算が異なるので気を付けてください。

保険料の未納がある月4万円の年金受給者は支給の対象? 年金生活者支援給付金の支給要件を確認しておこう

ここでは各年金生活者支援給付金の支給要件を、給付額の計算方法とともに紹介します。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

老齢基礎年金をもらっている65歳以上の人を対象とする給付金です。前年に受けた公的年金などの収入とそのほかの所得の合計が87万8900円以下であることが支給要件となっています。

ちなみに、収入に障害年金や遺族年金などの非課税収入は含めません。また、77万8900円超87万8900円以下の人は補足的老齢年金生活者支援給付金の受給となります。

さらに、給付を受けるには同一世帯の人全員の市町村民税が非課税であることも必須です。同一世帯の人とは住所が同じでなおかつ生計をともにしている人を指します。

老齢年金生活者支援給付金の給付額は「給付基準額5140円×保険料の納付期間の月数÷被保険者月数480ヶ月」と「1万1041円×保険料免除期間の月数÷被保険者月数480ヶ月」の計算結果を合わせた金額です。

保険料に未納があっても受給は可能ですが、未納期間は被保険者月数に含まれないため、保険料に未納があった人は被保険者月数が480ヶ月より減り、保険料を全額納めた人よりも給付額が少なくなります。

ちなみに、給付基準額の5140円は令和5年10月時点のもので、令和6年度は5310円に引き上げられるように物価の変動により変わるため気を付けましょう。また、計算の際に保険料免除期間に乗ずる1万1041円という金額も老齢基礎年金額の改定に応じて変わります。

障害年金生活者支援給付金

支給対象者は障害基礎年金を受給していて、障害年金などの非課税収入を除く前年の所得が472万1000円以下だった人です。ただし、所得の判定基準となる472万1000円という金額は障害扶養親族などの人数によって増額されます。また、令和5年10月時点での給付額は、障害等級2級の人が月額5140円、障害等級1級の人は月額6425円です。

遺族年金生活者支援給付金

支給対象者は遺族基礎年金を受給していて、遺族年金などの非課税収入を除く前年の所得が472万1000円以下だった人です。ただし、所得の判定基準となる472万1000円という金額は障害扶養親族などの人数によって増額されます。

また、令和5年10月時点での給付額は月額5140円です。ただし、遺族基礎年金を受給している子どもが2人以上いる場合は「5140円÷子どもの数」が1人あたりの給付額となります。

保険料に未納があっても要件さえ満たしていれば受給は可能! 給付金を受け取りたい人は忘れずに手続きを

日本では年金の保険料を納めることは国民の義務です。しかし、なかにはさまざまな理由によりこれまで保険料をしっかり納められていない人もいることでしょう。

保険料に未納があり被保険者月数が480ヶ月に満たない人でも、ほかの受給要件を満たしていれば、年金生活者支援給付金を受け取ることは可能です。月に4万円の年金を受け取っている人は収入の要件はクリアしていることになるため、受給できるかは他の要件の該当次第となります。

受給要件をすべて満たしていて給付金を受け取りたい人は、年金事務所もしくは自治体の窓口にて必要な手続きを忘れずに行いましょう。

出典

厚生労働省 年金生活者支援給付金制度について
厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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