川島秀明展『Stream』3月23日から 人生の流れを感じる、新たな展開の新作ペインティングを公開

すべての写真(7)を見る

3月23日(土)から小山登美夫ギャラリー六本木で、川島秀明展『Stream』が開かれる。画家としてスタートしてから20年、小山登美夫ギャラリーでの展覧会が7回目、という川島秀明。同展で発表する新作のペインティングは、これまでの川島作品とは一味も二味も違う。

そんな作品の変化は、川島自身の心境の変化という流れによるものだ。これまで強い自意識と向き合いながら、自画像のような顔や表情を描いてきた川島。近年のコロナ禍、肉親や親しいアーティストの死をきっかけに、1969年生まれの川島は「自らの死」を意識するようになった。同時に、友人家族の子どもと交流を持ったことで、人の存在は生命の循環であることに気付いた、という。こうした流れのような意識から、鴨長明の「方丈記」冒頭の一節を引用して、展覧会タイトル『Stream』と名付けられている。

そんな展覧会の名前と同じタイトルを持つ作品《Stream》は、友人家族とピクニックした際に、子供の父親が撮影した写真を元に描いた。子供が臨む川の彼岸と此岸、その水面が子どもの前途を暗示しているように見えた川島が、そのようすを陰から見守っているようなイメージとなっている。

川島秀明《Stream》2023 Photo by Kenji Takahashi ©Hideaki Kawashima, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

視線が交じり合わない、10人の女性が並ぶさまを表現した《Girls》は、川島が見た海外アイドルグループと、川島自身の心情が重なり合って描かれた作品。かわいいが、不思議なほど皆が同じに見えるアイドルたちが描かれ、その画面の背景にスピード感ある効果線が入っている。川島はそこで、黒澤明の映画「生きる」の中で、死期を悟った主人公が口ずさむ「命短し恋せよ乙女」という歌の一節が思い浮かび、川島自身の心情と重なったという。

川島秀明《Girls》2024  Photo by Kenji Takahashi ©Hideaki Kawashima, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

川島の画家生活も、20年が経った。別れと出会い、生と死を映し出すような新作は、見る人の感情と繋がったり、揺さぶったりするに違いない。

<開催概要>
川島秀明展『Stream』

会期:2024年3月23日(土)~4月20日(土)
会場:小山登美夫ギャラリー六本木
時間:11:00~19:00
休廊日:日月祝
公式サイト:
http://tomiokoyamagallery.com/

すべての写真(7)を見る

© ぴあ株式会社