試合後には声を枯らすほど。マリノス主将・喜田拓也が山東泰山戦で見せた類まれなリーダーシップ【ACL】

[ACL準々決勝第2戦]横浜 1-0 山東泰山/3月13日/横浜国際総合競技場

3月13日に横浜国際総合競技場で行なわれたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第2戦で、横浜F・マリノスは中国の山東泰山と対戦した。

前半はボールを支配しながら優勢に試合を進めた横浜だったが、スコアレスで折り返した47分に永戸勝也が2枚目のイエローカードで退場し、数的不利なると、その後は主導権を握られる展開に。

それでも75分、アンデルソン・ロペスが豪快なボレーシュートを叩き込み、1-0で勝利。敵地での第1戦は2-1で勝利しており、2戦合計3-1で準決勝進出を果たした。

この試合で類まれなリーダーシップを発揮したのが、アカデミーからトリコロール一筋で、今季で6年連続のキャプテンを務める喜田拓也だ。

【厳選ショット】アンデルソン・ロペスが貴重なボレー弾!苦しみながらも勝利しクラブ史上初のACLベスト4進出!|ACL準々決勝第2戦 横浜1-0山東泰山(2戦合計:3-1)
アンカーで先発した背番号8は、持ち前の鋭い読みとハードワークで攻守に奮闘。とりわけ数的不利になってからは、そうしたプレーに加え、ベンチや周囲の選手とコミュニケーションを密に取りながらチームをコントロール。84分にピッチを退くまで、大きな存在感を発揮した。

声を張り続けていたのだろう。試合後、喜田にどんな想いでチームを牽引していたのかを訊くと、ガラガラの声で「自分が中心となってチームをオーガナイズしたい、絶対に崩したくないと思っていた」と語り、こう続けた。

「プレスのかけ方も攻撃もどこかで折り合いをつけないといけないので、そこは自分が責任を持って、(選手の)配置やポジショニングも自分発信でやるべきだと思った。周りの選手としっかり話をして、チームとして逞しく戦えたと思います」

10人になりシステムを4-3-2に変更した後も、ピッチ上で渡辺皓太、山根陸らと4-4-1にするかどうかを話し合ったという。「もちろんベンチともコミュニケーションを取りながら」としつつ、喜田は「まずは4-3-2でやって、3のところでスライドしきれるか、もし厳しいなら僕の決断で4に変えるという話をした。宮市(亮)選手にも必要な時に少し下がってきてもらって、リスクヘッジをしていたので、そういう細かいところまでしっかり話をしていました」と明かした。

ハリー・キューウェル監督は12日の前日会見で、「彼らがピッチ上で何を感じて、何を共有できているのか。そこからしっかり選手同士で分析をして、何が足りないのか、どこを良くしていくのかが大事」と語っていたが、まさにそれを体現した試合だったと言えるだろう。

取材・文●金子徹(サッカーダイジェスト編集部)

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