デイヴィッド・グリッテン、BBCニュース
国連は13日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部に援助物資を3週間ぶりに届けるため、新しい陸路を使用したと明らかにした。
イスラエル国防軍(IDF)によると、12日夜にイスラエルとガザ地区との境界沿いにあるゲートを、世界食糧計画(WFP)のトラック6台が通過した。
「ハマスが援助物資を独占しないようにする試験的計画の一部」だと、IDFは説明した。
国連関係者によると、WFPの車列はガザの境界フェンス沿いに走るイスラエルの軍用道路を使用し、ガザ北部に到達。食品や小麦粉などを含む計88トン、約2万5000人分の食糧を夜のうちにガザ市内に運んだ。
WFPのシャザ・モグラビー報道官は、「食糧を道路で運ぶことは可能だ」とこれでわかったと説明。「今後さらに規模を拡大したい。規則的かつ安定的に、とりわけ飢餓寸前の状態にあるガザ北部の人たちに、食べ物が届くようにしたい」と、報道官はロイター通信に話し、「(ガザ地区)北部に直行できる入り口が必要だ」と述べた。
イスラエル軍によると、今回の援助物資車列については、ガザ地区南部のケレム・シャローム検問所でイスラエルの治安当局が安全確認を実施。この試験的計画の結果について、政府に報告するという。
に、「我々は常に、ガザに入る人道支援物資の流れを維持するため、創意工夫をこらして方法を探している」と書いた。
栄養不良と脱水……迫る飢饉
ガザ地区で飢饉(ききん)の危険が迫るなか、ガザ地区への人道援助拡大を求める国際社会の声が、イスラエルに対して高まっている。
12日にはキプロスから、食糧200トンを積んだ民間慈善団体の船が出航。ガザ地区沿岸には14日にも到達する予定。地中海に面したガザの海岸には、仮設の桟橋が造られている。
国連幹部はこの動きを歓迎したものの、大規模な物資搬入には、陸路に勝るものはないと指摘した。
イスラエルは、自国領内からガザへと搬入可能な援助物資の量に制限はなく、配布に失敗しているのは国連機関のせいだと批判した。
イスラム組織ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を奇襲し、約1200人を殺害、253人をガザ地区へ連れ去った。イスラエルは報復としてガザ地区への大規模な空爆と地上作戦を開始した。
ハマス運営のガザ保健省によると、同地区ではこれまでに女性と子供を中心に3万1200人以上が殺害された。
国連は、ガザ地区の人口の25%にあたる少なくとも57万6000人が飢餓寸前の状態だとしている。数カ月前から援助がほとんど届かないガザ北部では、食べ物も清潔な水もほとんどない推定30万人にとって、時間がなくなりつつあると国連は警告している。
ハマスの保健省によると、ガザ北部の病院では子供23人を含む27人が、栄養不良と脱水のため死亡したという。
(英語記事 UN aid convoy uses new land route from Israel to reach north Gaza)