長期の避難生活、命と健康守れ…3月11日に日赤県支部が講習会 高齢者や乳幼児への対応と「共助」学ぶ

日赤の指導員から毛布ガウンの作り方を学ぶ参加者=11日、埼玉県さいたま市浦和区岸町の日赤県支部

 乳幼児や高齢者ら災害時要配慮者への支援を学ぶ講習会が11日、東日本大震災から13年に合わせて、埼玉県さいたま市浦和区の日本赤十字社県支部で開催された。日赤の指導員が講師を務め、一般ボランティアら18人が参加。長期の避難生活から命と健康を守る対処方法や、地域の人と助け合う共助の大切さを学んだ。

 日赤の幼児安全法指導員と健康生活支援講習指導員が、避難生活支援講習ハンドブックを参考にしながら、高齢者、乳幼児と保護者らへの支援方法を講習した。高齢者はエコノミークラス症候群や誤嚥(ごえん)性肺炎を発症する可能性が高いと指摘。乳幼児は体を清潔にするほか、言葉で不調を訴えられないことから、いつもと違うサインに気付くことが大切と説明された。

 能登半島地震では断水が長期化し、洗面や入浴ができなかったり、トイレの使用が困難になる事態が起きている。講習会では、少量の水でも口腔(こうくう)ケアをする重要性や、約100ミリの熱湯でホットタオルをつくる方法が実践された。

 災害ストレスによる心の支援の大切さも学んだ。高齢者は孤立しがちになり、子どもはストレスから赤ちゃん返りすることもあるという。高齢者に対しては、相手を尊重しながら話を聴くこと。子どもは安全な遊び場の提供や、一人にしないことなどが求められた。最後に「支援する自身が心と健康に努めることが重要」と呼びかけられた。

 高校1年の小林京楓さん(16)=東松山市=は、看護師の母の影響を受けて、以前から防災に関心を持っていたという。能登半島地震が発災し、「何を準備していいかも分からないので、防災を学びたい」と参加した。「丁寧に教えていただいて、とてもためになった。共助が大切と分かったので、自分の安全を第一に考えながら、助け合いができたらと思う」と語った。

 元警察官の富岡克彦さん(67)=さいたま市=は1983年10月、赴任した1カ月後に三宅島の噴火に遭遇した。噴火災害の経験や仕事柄もあって防災への関心が高く、自治会の防災担当役員を務めている。体全体を包み込んで温める毛布ガウン、新聞紙足カバーの作り方を学び、「すごく役立った。自治会に広めていきたい」と話した。

 日赤県支部は東日本大震災の発災に合わせて毎年、講習会を開いている。担当者は「3.11を忘れずに命を守る大切さ、日頃から備えることを考えるきっかけにしてほしい」と話していた。

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