ジェットスター労組メンバーに解雇処分通知、組合側は「ストに対する報復措置」と痛烈批判

会見するJCA執行部メンバー、いずれも現役のパイロット(2024年3月14日、弁護士ドットコムニュース撮影)

格安航空会社ジェットスター・ジャパンの労働組合「ジェットスタークルーアソシエーション」(JCA)は3月14日、2024年に入ってから、会社が組合の執行委員に対する解雇処分の通知および執行委員長に対する日勤教育をおこなったことを明らかにした。

JCAによると、会社は解雇処分の理由について、複数のパワハラや勤務時間中の組合活動があったことを挙げたが、「そのような事実はない」と反論。3月13日におこなわれた組合員の弁明では、会社側がパワハラと指摘した一部会話の録音を再生したところ、会社指摘の発言はまったく確認されなかったという。

勤務時間中の組合活動については、2023年1月に発生した同社機に対する爆発物脅迫をめぐる緊急着陸後の対応において、同機の機長だった執行委員の上司が連絡したJCAとは別の労組から連絡を受けて、クルーのケアに当たっていたことが該当すると指摘されたという。

日勤教育は、運行時に通常と異なるオペレーションが発生したことによるものとされたが、パイロットに対しては電話で約5分の聞き取りを実施した程度の事象だったとし、「執行委員長個人の責任によるものではない」とする。日勤教育後、執行委員長は適応障害との診断を受け、現在休職しているという。

JCA側は、2023年12月におこなった未払い賃金等を求めて実施した指名ストライキに対する「報復措置」だと厳しく批判。3月14日16時から実施予定の団体交渉で解雇処分の撤回がなければ、ストライキの実施も辞さない構えだとしている。組合内で懲戒処分の取り消しを求める争議権の投票は実施済みで、投票率93%、有効投票数の97%が賛成だったという。

JCA書記長で同社パイロットの男性は、「2人に対しておこなわれた不当労働行為は、当人らの人生を崩壊させる暴挙であり、(クルーの職場環境の整備・充実を通じて担保される)航空の安全に対する冒涜であると考えています。安全を脅かす行為を許すことはできません」と訴えた。

●ジェットスター・ジャパンの回答

ジェットスター・ジャパンは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、次のように回答した。

──JCA執行委員長に対して、いわゆる日勤教育がおこなわれたというのは事実か。

安全に係る事象が発生したため、当人の知識レベルを確認したうえで必要な研修を実施しています。訓練内容の詳細については回答を控えさせていただきます。

なお、当社では「日勤教育」は存在せず、知識をブラッシュアップするための安全研修を行っています。

──JCA執行委委員に対して、パワハラや勤務時間中の組合活動を理由とした諭旨解雇処分、3月14日までに退職しない場合は懲戒解雇処分をおこなったのは事実か。

個別の人事に係るため処分に関する内容については回答を控えさせていただきますが、組合活動とは全く関係ございません。

──今回おこなわれたとされる処分についての受け止め・見解は。

個別の人事に係るため回答は控えさせていただきます。

(3月14日20時20分、ジェットスター・ジャパンの回答を追記しました)

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