定年退職後は「住民税」が安いところへ引っ越そうと思います。どこが安いですか?

住民税とは?

住民税とは、所得が一定以上ある方が居住する地域に納める必要がある税金です。

私たちが生活するうえで必要なゴミ処理、消防・救急、教育、福祉などの市区町村や都道府県が行う行政サービスの活動費にあてられています。なお、住民税には個人が支払う「個人住民税」のほか、法人が支払う「法人住民税」もあります。

住民税を構成するのは「所得割」と「均等割」

住民税は、前年の所得に応じて計算される「所得割」と、各自治体に定められた金額が一律に課される「均等割」で構成されています。ここからは、所得割・均等割についてそれぞれどのようなものなのかをご説明します。

所得割

所得割とは、前年の1月から12月までの間に得た所得に対して10%(市町村民税6%・道府県民税4%)の税率で算定されるものです。なお、政令都市の場合は、内訳が市民税8%・道府県民税2%となります。所得に10%を乗じた金額を納めるため、所得が多ければ多いほど納める税金の金額も増加します。

均等割

均等割とは、住民税の課税対象の方に対して、一律の金額で割り当てられるものです。年額5000円で、内訳は市町村民税3500円・道府県民税1500円です。なお、2014年度から2023年度までの10年間は、東日本大震災を踏まえ、防災費用を確保するため、年額1000円(市区町村民税・都道府県民税各500円)増額され、5000円となっていました。

住民税が安い地域はあるの?

愛知県名古屋市では、名古屋市市民税減税条例に基づき、均等割の税率は年額2800円とされています。また、所得割に関しても「課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額の合計額に、100分の6に100分の95を乗じて得た率に100分の2を加えた率を乗じて得た金額」としています。

ただし、愛知県では「あいち森と緑づくり税」として、現在のところ令和10年までは均等割の道府県民税が500円増額されている点は注意が必要です。

また、期間限定で税率が引き下げられるといったケースもあるようです。例えば大阪府の田尻町では、平成29年度から令和5年度までの間、個人町民税の均等割額が300円、所得割税率を0.6%引き下げられています。

住民税は人によって金額が異なるため、気になる場合は一度計算してみましょう

住民税が通常よりも安く設定されている地域は、わずかですが存在します。

ただし、安くなる期間が決められていたり、市区町村民税は安いものの都道府県民税は上乗せされていたりするケースもあるため、住民税が気になる場合はしっかり調べたうえで一度計算してみることをおすすめします。自分に合う引っ越し先を見つけ、定年後の生活を有意義に過ごしてください。

出典

名古屋市市民税減税条例 平成23年12月28日条例第48号(令和2年4月1日施行)
田尻町 個人住民税 税額の計算方法

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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