映画『タイタニック』で知られる俳優のケイト・ウィンスレットが、ベッドシーンの撮影現場について私見を語りました。ネットでは称賛の声が集まっています。
ケイトは、米ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューに応じ、映像界で一般的になりつつある「インティマシー・コーディネーター」の存在について語りました。
インティマシー・コーディネーター とは、ベッドシーンの撮影で、俳優の心身の負担への配慮と、制作者の演出意図の実現を両立するために、両者のあいだで調整を行う人のこと。
ベッドシーンの段取りなどを決め、場面を演じる俳優だけでなく、作品に関わるすべての人が気持ちよく撮影に参加できるようにする役割を持ちます。
ケイトはインタビューの中で、自身のキャリア初期をこう振り返りました。
「ラブシーンや部分的でも裸になるシーン、それがキスシーンであっても、インティマシー・コーディネーターがいたら助かったと思います」
「いつも自分で自分の味方をしなければいけませんでした。誰かがそばにいてくれたらよかったのにと思います」
「『そのカメラアングルは嫌だ。ここに全裸で立ちたくはない。現場で大人数のスタッフがいるのはいやだ。ガウンをもっと近くにおいておきたい…』と、ほんのちょっとしたことなんですけどね」
ケイトは、ベッドシーンを演じる俳優に年齢差がある場合の、コミュニケーションの難しさについても指摘。だからこそ、インティマーシー・コーディネーターが必要不可欠だと強調します。
「まだ若い俳優たちは、誰かを怒らせてしまわないか、(撮影時に)そういう要望を口にすることで、失礼だとか、情けない人だと思われないかと心配するものです」
「ですから、そのような環境の中で、自分の意見をしっかりと発言できるようになるのは、とてもとても大変なことでした」
インティマシー・コーディネーターを採用することは、法的な義務ではありません。
しかし近年の映像界では、#MeToo運動の影響で、性暴力や性被害を生まないよう、性的な場面の撮影に専門の監督者を置くことが一般的になりつつあります。
2020年には、SAG-AFTRA (映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟)が「製作現場におけるインティマシー・コーディネーターの導入を奨励するため」の新しいガイドラインを発表しています。
一方、性的なシーンの撮影に、第三者が入ると気まずくなる、あるいは俳優の自発性を重視したいという理由で、あえてインティマシー・コーディネーターを置かない俳優 がいるのも事実。
インティマシー・コーディネーターの存在について、俳優たちの間で意見が分かれる中、ケイトが率直な思いを語ったことに、SNSでは称賛の声が寄せられました。
💬「ケイトのような才能ある俳優が、インティマシー・コーディネーターについてポジティブに語っているのを見られるなんて、とても新鮮」
「彼らは、俳優・スタッフの安全と快適さを確保するために、撮影現場でとても大切な役割を担っていると思います」
💬「インティマシー・コーディネーターを撮影現場に起用することのメリットがもっと語られるべき。それは俳優にとって、すごく大事なことだから」
「ケイト・ウィンスレットのような大御所俳優が発言してくれたことを嬉しく思う」
💬「最近では、俳優たちが自分たちの安全や快適さを考えて、インティマシー・コーディネーターをつけられるというのは、嬉しいことだし安心できる」
「同時に、昔の俳優たちにはそのような選択肢がなく、自分の意見を言えなかったと思うと、とても悲しくなる」
この記事は英語 から翻訳・編集しました。翻訳:大久保 拓哉