UAゼンセンが3月14日発表した2024年春季労使交渉の妥結状況によると、例年に比べ、アークスグループ、アクシアル リテイリング、オークワといった地方の中核スーパーマーケットが、昨年に比べ早期に妥結していることがわかった。
<原信労働組合は正社員満額以上で妥結>
同日行われた記者会見で流通部門の波岸孝典事務局長は、「流通部門ではイオン労連の14組の早期満額妥結を皮切りに71組合が妥結している。また、昨年に比べ、妥結組合の内訳でスーパーが10組合増えた。イオングループの高い水準の回答が、首都圏だけでなく、地方でも人材確保、生産性向上のための人的投資に影響を与えている。地方の中核スーパーでは、北海道のアークスグループ、青森のユニバース、新潟の原信、山形のヤマザワ、和歌山のオークワが3月13日までに妥結している」と説明している。
イオングループは、2022年秋に労使で労働協約を締結。2023年、2024年と2年連続で、パート時給7%アップというグループ統一方針を発表している。
3月14日現在、イオン労連の30を超える組合で正社員・パートともに満額妥結となっており、2024年春闘において「イオンショック」ともいえる労使交渉への影響が明らかになってきた。
<主な地域の中核スーパーの妥結状況>※3月14日10時現在
原信労働組合は3月13日、正社員平均賃上げ(総額)1万8577円(6.51%)、パートタイマー時給60.0円(6.32)%で妥結した。正社員は、要求総額1万7550円(6.15%)を1027円上回っている。
また、ヤマザワ労働組合は同日、正社員平均賃上げ(総額)は1万5418円(5.58%)と要求を121円上回り、パートタイマー時給は57.28円(6.07%)、契約社員月給1万3492円(6.44%)で妥結している。
オークワ労働組合も同日、正社員平均賃上げ(総額)1万3398円(4.15%)と要求満額、パートタイマー時給は50.05円(4.46%)で妥結した。
さらに、アークスグループ労働組合連合 ラルズ労働組合は、正社員平均賃上げ(総額)1万5696円(5.22%)、パート49.3円(5.04%)、オールユニバースユニオンは正社員平均賃上げ(総額)1万6388円(6.14%)、パート67.1円(6.62%)で妥結している。
<波岸事務局長>
波岸事務局長は「経営陣との交渉の過程で、必ずイオンの賃上げの話が出てきたということも聞いている。今までの地域のスーパーは正社員、若年層への支援が手厚い傾向にあったが、今年は正社員もパートも高い水準の賃上げとなっている。特に、パートの賃上げ率が正社員を上回っている企業も多い。イオングループが打ち出した、2年連続のパート時給7%アップが最前線で働いている人材の確保に影響し、経営陣との議論が深まったと認識している」と述べた。
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