「失敗してもいいんだ。すぐそいつを取り返せばいいんだ」 カイロス打ち上げ失敗、その翌日にIHIが投稿した土光敏夫氏の言葉

宇宙ベンチャー企業「スペースワン」(東京)が2024年3月13日11時過ぎ、延期となっていた小型ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを行ったが、直後に爆発した。

打ち上げ失敗を受け、同社に出資しているIHIエアロスペースの親会社、IHI(旧社名:石川島播磨重工業)の初代社長・土光敏夫氏の言葉にSNSで注目が集まっている。

「しくじってよろしい。しくじったとき、うまくいかなかったとき、投げ出してはいけない」

カイロス初号機は、上昇を始めて5秒ほどで爆発し、打ち上げは失敗した。成功すれば、民間企業単独での人工衛星の打ち上げは日本初だった。スペースワンの説明によると、打ち上げから5秒後に「飛行中断」の措置がとられた。原因については、対策本部を立ち上げて現在調査中だとした。

そんな中で注目を集めているのが、IHIの公式Xアカウントだ。14日午前、こんな言葉を投稿した。

「人間は失敗してはいかんと思うと、元気がなくなる。失敗してもいいんだ。すぐそいつを取り返せばいいんだ。しくじってよろしい。しくじったとき、うまくいかなかったとき、投げ出してはいけない。大いにそいつを取り返してやろう。」

投稿には、同社の旧名「石川島播磨重工業」初代社長の土光氏の写真が添えられている。土光氏は大物財界人として知られ、会長を務めた第二次臨時行政調査会で国鉄や電電公社の民営化といった行政改革を提言。「土光臨調」の名前は有名だ。

打ち上げ直前には「まもなくです!!!!!お願い!!!!」

IHIの公式アカウントは、打ち上げの際にもカウントダウンを行っていた。

打ち上げ前日の12日には「カイロス打ち上げは明日です!! 本日行った天候判断では、GOが出ました!」と投稿。13日には朝から現地に赴き、「カイロス」をイメージした和歌山県串本町の銘菓「そらのかけはし」の写真とともに「再チャレンジ。いこうカイロス」と応援の投稿を行った。

その後も「ライブはじまた!!!!! 本日の打ち上げ判断もGO!!!!!! あと30分くらい!!! 11:01:12ですよ!!!!!!!!」と大興奮で実況を続け、打ち上げ直前には「まもなくです!!!!!お願い!!!!」と祈るような投稿も。

打ち上げ直後にロケットが爆破された後は言葉少なに、「カイロスロケット初号機の打ち上げについて、現在状況を確認中です」と投稿していた。

熱い気持ちで応援を続けていたIHIによる暖かいメッセージに、共感の声が多く寄せられた。

「IHIさんのアカウントで発信いただくからこそ、この言葉により重みが増します。自身も肝に銘じて挑み続けます!」
「昨日はロケット打ち上げ残念ながら失敗だったけど、専門家の方もそこからデータを集めて分析するとお話されていたので、次に繋がる出来事だとすればいいと思います」
「この言葉凄くええなぁ 過去の偉人たちだって何度も失敗を繰り返してる。大事なのはその失敗から得たものを次に繋げる事。ほんとめげずに次も勇敢に挑んでほしい」

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