「タンス貯金」はなぜバレるの? いくらまでなら違法にならない?

タンス預金の「申告漏れ」がバレるケースとは

タンス預金の申告漏れが税務署にバレる主なケースとしては、「財産の相続時」が考えられます。子どもや孫にも知らせずに親や祖父母がためていたタンス預金が、本人の死後に発見されたとしましょう。

このタンス預金は、それ以外の財産とともに、相続税の申告が必要になる可能性があります。ところが、子や孫の中には、「自分たちも知らなかったタンス預金が税務署にバレるはずがない」と考える人もいるのです。このような事例があるため、税務署では常に相続税の申告に目を光らせています。

そのうえで、少しでも不審な点があれば調査が行われ、申告の必要がある相続人に対しては、申告漏れが指摘されます。では、税務署はどのような方法で、相続税の申告漏れを調査しているのでしょうか。

税務署は、こうして「申告漏れ」を調査する

住所地の市区町村に死亡届が提出されると、その情報は市区町村から所轄の税務署に転送されます。情報を得た税務署では、相続人の過去の確定申告情報などから、どの程度の財産の持ち主であるかを調べます。

この際に用いられるのが、全国の税務署と国税局をネットワークで結んだ、国税総合管理(KSK)システムです。税務署では、その情報と相続税の申告情報を照合します。その結果、申告漏れが疑われる場合は、実地調査に進むのです。

相続税に申告漏れが疑われる場合、「質問」や「実地調査」が行われます。質問の主な内容は、被相続人の収入と貯蓄に関する情報や、相続人の職業と収入などです。その後、相続人や被相続人の預金通帳や金庫などが調べられます。

なお、税務署は、事前に調査対象者の銀行口座を調べることもできます。(国税通則法第74条第3項)そのため、実地調査に入った段階で、相続人や被相続人の預金の額は把握されている可能性が高いと考えてよいでしょう。

つまり、収入の何割くらいがタンス預金になっているかを実地調査の前に把握している可能性が高いため、事実を改ざんしたり捏造(ねつぞう)したりしても隠し通せるものではありません。また、必要と判断すれば、税務署は相続人の取引銀行や知人などから話を聞く反面調査も行って、申告漏れの証拠を固めていくのです。

タンス預金が「違法にならない金額」はいくら?

タンス預金は、その行為自体は違法ではないため、きちんと申告していれば何の問題もありません。そのため、金額にも基準はありません。問題は、そのタンス預金が何らかの税金の課税対象になるのに申告しなかった場合です。

例えば、相続税の場合「相続人が取得した財産のそれぞれの課税価格の合計額」が、「遺産に係る基礎控除額」を超える場合に申告する必要があります。

タンス預金の納税は免れるものではない

タンス預金が課税対象になるのに申告しなかった場合、税務調査の対象になる可能性が高いです。調査の結果、申告漏れが確定した場合には、故意か過失かに関係なく罰則が科されるため、注意が必要です。

なお、本記事では相続税を例に解説しましたが、それ以外の税金でも、タンス預金を無申告のままにしていると、税務調査の対象になる可能性があります。いずれにしても、税務署の調査は入念に行われるため、タンス預金の納税を免れることは不可能と考えておきましょう。

出典

e-Gov 国税通則法 第74条第3項

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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