原発関連問題、高校生らが質問 IAEA事務局長の福島県富岡町訪問

グロッシ氏に質問する岡田さん(右)

 福島県富岡町文化交流センター「学びの森」で13日に開かれた国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長と県内の高校生との交流会では、昨夏にスウェーデンを訪れ、原発関連視察を視察した浜通りの高校生らが鋭い質問をぶつけた。

 磐城桜が丘高2年の岡田瑠衣さん(17)はグロッシ氏に、スウェーデンで高レベル放射性廃棄物の最終処分場建設予定地や岩盤研究所、キャニスター研究所を訪問したことを英語で伝えた。その上で「原発と最終処分の問題は国際的な議論が必要だと思う。関係する各国をどのように管理していくのか」と質問した。

 磐城桜が丘高2年の太田諒さん(16)は「これから30年かかる予定の処理水放出を円滑に進めるためには、国と東電、地域の信頼がより重要になってくる」との認識を示した上で、「東電の相次ぐトラブルや政府の対応の悪さで不信感が高まり、国民の信頼や理解が得られていないと感じる。問題の原因と改善策をどう考えるか」と答えを求めた。

 相馬高2年の伊東聡太さん(17)は「廃炉のゴール」、原町高2年の大井紀葉(もとは)さん(17)は「福島の復興のゴール」について、自分たちの古里の未来の姿についてそれぞれ尋ねた。

 交流会には浜通りの磐城、磐城桜が丘、相馬、原町をはじめ、安積や白河、会津学鳳の7高校から約120人が参加した。各校の代表が質問した後、最後にグロッシ氏を囲み、高校ごとに記念撮影した。

 スウェーデン視察と今回の交流会を企画したNPO法人ハッピーロードネットの西本由美子理事長は「高校生が真剣に原発と自分たちの古里について考え、率直に意見や疑問をぶつけた」とたたえた。「高校生だけでなく大人も考えなければならない問題」として今後も高校生と共に取り組む考えを示した。

(相双版)

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