「プレミアリーグに片足を突っ込んでいる」英国で人気沸騰中の久保建英に対して「ソシエダは売却不可避の状況にある」と現地メディアが指摘

現地時間3月9日に行なわれたラ・リーガ第28節のグラナダ戦、レアル・ソシエダは3-2の逆転勝利を収め、公式戦5試合ぶりに勝点3を獲得したが、このアウェーマッチでベンチスタートとなった久保建英は、最後までベンチを立つことはなかった。

4日前のチャンピオンズリーグ(CL)パリ・サンジェルマン戦ではフル出場を果たした背番号14に出番が訪れなかった理由は負傷であり、イマノル・アルグアシル監督は前日会見で「久保はハムストリングに違和感を抱えており、背中(腰)の問題も抱えている」と明かしていた。

そしてソシエダは現在、3月15日に本拠地レアレ・アレナで迎えるカディス戦に向けての準備に余念がないが、12日に久保はチーム練習には加わらず、グラウンドの端で別メニューを行なったことを現地メディアがレポートしている。
地元紙『noticias de Gipuzkoa』は、「グラナダ戦では指揮官のリスクを冒したくないという意図によってベンチに座り続けた日本人選手は、カディス戦まで残りの練習セッションが2回という段階になっても、チームの外から傍観を続けている」と報じ、「アンデル・バレネチェアと合わせて、両ウイングとも(カディス戦での)出場は難しそうであり、ソシエダは4-4-2システムで今回も戦う可能性を排除できない」と綴った。

同メディアは、今季のソシエダが低迷している原因のひとつとして、久保、ミケル・オジャルサバル、バレネチェアの「魔法のトリオ」が、揃ってプレーした試合が非常に少ないことを挙げている。ここまでこのトリオが共闘したのは8試合で、最後は今から4か月以上前のCLベンフィカ戦(3-1で勝利)。この8試合の結果は4勝2分け2敗と決して良いわけではないが、その中には多くの印象的な勝利があり、指揮官の戦術とアイデアを完璧に体現していたと評価している。

ここからも、久保の存在感が今季はさらに増していることが窺えるが、それゆえに国内外のビッグクラブからの関心も高まる一方で、彼が先日、ソシエダとの契約を2029年まで延長したにもかかわらず、サッカー専門サイト『GOL DIGITAL』は「ソシエダとの契約延長も、6000万ユーロ(約97億円)の契約解除条項も、プレミアリーグのクラブを怖がらせるものではない」として、これまでにも再三、ニュースでその名前が出ているマンチェスターの両クラブとアーセナルが獲得に乗り出すと、改めて報じた。「マンチェスターの両チームは、元マジョルカ所属の日本人スター選手が計り知れない可能性を持つことを認識している。そしてアーセナルでは、生まれつきの才能を見出す専門家でもあるミケル・アルテタ監督が、久保のサイドからセンターに切れ込んで相手GKと対峙できる能力を最も気に入っている」

同メディアは、久保の現状を「いずれにせよ、プレミアリーグに片足を突っ込んでいるようだ」と表現し、「ソシエダのアルグアシル監督、ロベルト・オラベSDは、タケ・クボを引き留めるために、ほとんど、あるいは全く何もできないことを認識している」と綴って、このバスクのクラブが売却を避けられない状況にあると指摘する。

また別の記事でも、「現時点でラ・リーガでは首位に勝点26差をつけられての6位で、コパ・デル・レイとCLでは敗退を喫するなど、“失敗”のひと言で要約できるかもしれない今季、しかし多くの主力選手が高額で売却可能であることは、アルグアシル監督のチームが全体的にそこまで悪くなかったことを意味している」とチームを評価するとともに、「主力選手の売却でソシエダの基盤は崩れるかもしれないが、ホキン・アペリバイ会長はクラブの中核の解体に同意した」と伝えた。
ここで、売却の対象として名前が挙がっているのは、ミケル・メリーノ、マルティン・スビメンディ、ロビン・ル・ノルマン、そして久保。「久保はレアル・マドリーが東京から連れて来てから、常に話題となっていたタレント。最初に彼を発見したのはバルセロナだが、彼のウイングとしての最高のバージョンを引き出す方法を知っていたのはソシエダであり、今や市場では6000万ユーロの価値がついている」と、この22歳について評している。

来季の欧州カップ戦出場権を得るために重要な残りのシーズンで、久保が大きな役割を担うのは間違いない。そのコンディション、起用法、パフォーマンス、そして移籍市場における動向と、彼についてはあらゆる面でその興味は高まる一方である。

構成●THE DIGEST編集部

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