「韓国で初先発する準備は整った」OP戦初黒星も、指揮官が唸った山本由伸の“完璧ピッチング”。変化球に注文も信頼変わらず

現地3月13日、山本由伸(ロサンゼルス・ドジャース)が米アリゾナ州グレンデールで、シアトル・マリナーズとのオープン戦に先発。4回2/3を投げて8安打4失点で敗戦投手になったものの、7個の三振を奪い球速は96マイル(約155キロ)を計時するなど調子は上々。来週に迫った開幕2戦目(韓国・ソウル)のマウンドに向けて、最後の実戦登板を終えた。

最高の立ち上がりだった。初回を3者連続三振で終えた沢村賞右腕は、3回まで被安打1と安定感抜群のピッチングを披露。デーブ・ロバーツ監督も唸るほど、快調なスタートを切った。

ところが4回に先頭打者に出塁を許すと、そこから4連打を浴び2点を献上。5回には初のピッチクロック違反、暴投などでピンチを広げると、1死二、三塁から4番打者に左翼線へ2点適時二塁打を打たれ、この回で途中降板。チームも1-8で敗れた。

4失点で黒星を喫したが、現地メディアの評価は決して低くはない。日本人右腕の最後の調整に熱視線を送ったMLB公式サイト『MLB.com』のスティーブ・ストックマー記者は、初回に見せた圧巻の投球術に注目。「ヤマモトは1回表にJP・クロフォードを96マイルの速球で、フリオ・ロドリゲスを85マイル(136.7キロ)のオフスピードで空振り三振に仕留めた」と記し、マリナーズを代表する強打者を手玉に取ったシーンに目を見張った。

山本のピッチングを見届けたロバーツ監督の表情もいい。指揮官はまず、「彼はメジャーリーグの打者について学ぶ機会があった」と話し、「今日だって、最初の2イニングは完璧だったと思うよ。ただ3、4、5回は変化球が安定しなかったけどね」と3回以降の投球に注文をつけたが、「今季初先発の準備は整ったようだね」と合格点を示唆。サンディエゴ・パドレスとの開幕シリーズに向けて、ゴーサインを出した。
試合後、山本はストックマー記者をはじめとした地元メディアに対し、「チームの投手コーチから素晴らしいサポートを受けています。調整に関しては彼らがとても助けてくれたし、十分な時間を与えてくれた」と答え、充実したスプリング・トレーニングを積めていると強調。「まだ調整が必要ですが、準備はできています」と自信を示し、21日の先発登板に照準を合わせている。

オープン戦3試合で防御率(8.38)には課題を残したものの、いよいよメジャーリーガーとして公式戦のマウンドに臨む山本。12年間で総額3億2500万ドル(約462億円)という超大型契約を結んだ日本人が、その実力を示す時が来た。

構成●THE DIGEST編集部

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