米大統領、日鉄買収に反対表明 USスチール「国内所有を」

米ペンシルベニア州にあるUSスチールの工場=2023年12月(AP=共同)

 【ワシントン、ニューヨーク共同】バイデン米大統領は14日、日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収問題を巡って「国内で所有・運営される米国の鉄鋼企業であり続けることが不可欠だ」との声明を出した。外国企業による買収に反対する考えを表明。11月に米大統領選を控えて激戦州の労働者票を呼び込む狙いがあるとみられ、買収実現には不透明感が漂う。

 大統領が当局の審査結果を待たずに意見を表明するのは異例だ。買収阻止には踏み込まなかったものの、反対していた全米鉄鋼労働組合(USW)は歓迎するコメントを公表。USスチールは大統領選の激戦州ペンシルベニアに本社を置き、トランプ前大統領は1月に買収を「即座に阻止する」と発言していた。

 バイデン氏は声明で「米国の鉄鋼労働者によって運営される強力な米国の鉄鋼企業を維持することが重要だ」と強調。「USスチールは1世紀以上にわたって米国の象徴的な鉄鋼企業だ」との考えを示した。

 USWのマッコール会長は「大統領の声明をもって議論に終止符を打つべきだ」とのコメントを公表した。

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