「サラリーマン仕事別視聴率」初公開で判明! 日曜夜、役員・管理職と教師が見るバラエティ番組には違いがあった

経営層が熱視線の『坂上&指原のつぶれない店』

「日曜の19~21時は、テレビがいちばん視聴されている時間帯。民放5局すべてがバラエティ番組を放送しており、各局が、個性を生かして競い合っている激戦区なんです」

こう話すのは、元NHK局員で「次世代メディア研究所」代表の鈴木祐司氏だ。鈴木氏が「TVAL」(モニターとなる視聴者の性別、年齢などが登録されており、詳細なソートをかけて分析できる計測サービス)を使用して算出した、民放4局のバラエティ番組「職業別視聴率」を本誌で初公開する。

今回は、特別番組の放送がなかった2月4日、11日の両日曜日の19時台、20時台それぞれで放送されたバラエティ番組を調査した。なお、テレビ東京の19~20時台は放送内容がその週によって大きく異なるため、今回の調査からは省いた。

「ここで示した数値は、厳密には『含有率』という指標です。各番組の視聴者に、特定の層がどれだけ含まれているかを表わしていて、数字が100より多ければ多いほど、視聴者のなかでその層の割合が多い、ということです。

最近、この含有率を気にする広告主が増えています。リアルタイム視聴率が下がっているいま、企業はできるだけ『商品を訴求したい層が見ている番組』にCMを出稿したいですからね」(鈴木氏、以下同)

ではまず、役職による視聴傾向の違いを見ていこう。今回は40~50代男性の部課長以上を「役員・管理職」、それ以外を「平社員」、非正規などを「それ以外」とした。

「TBSとフジは大きく差が出ました。役員・管理職でいちばん数値が高いのがTBS。これはTBSのバラエティ番組がウリにしている“情報性の高さ”が影響しているのでしょう。

たとえば『坂上&指原のつぶれない店』は、『つぶれそうな店がどうやって利益を出しているか』を解明していく内容で、会社の重役からすれば、マーケティングの参考になるわけです」

職種別で見るとどう変わるか。サラリーマンが多く携わる30~60代の「営業」「接客」などの5職種に絞って分析した。このなかで、数値が100からあまり離れない“安定型”なのが、日テレだ。

「日テレは子どもと一緒に番組を観るような『随伴視聴』を目指した番組作りをしているので、家族単位での視聴が多く、逆に職種によるばらつきが少ない。『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』は、その狙いが的中しています」

大きなばらつきが出た職種が接客業で、TBSが高く、フジはその半分以下だ。

「TBSは『つぶれない店』『バナナマンのせっかくグルメ!!』2番組とも扱っているテーマが、グルメや人気店。同じ業者として人気店がどんな接客をしているのか“自分ごと”として見ているのでしょう」

これは業界別で見ていくと、如実に表われている。接客業の職種ではいちばん低かったフジが、業界別にみると、金融・保険業界ではトップに。教育関係はテレ朝が、情報通信ではTBSの数値が非常に高い。

「営業職でもフジの数値は高いですが、なかでもトーク力が問われる業界である金融・保険業では、雑談から商談に入ることが多い。そのネタとして、人気のある千鳥の番組は参考になるのでしょう。

いちばん番組に対しての好き嫌いがはっきり出ているのが教育関係です。テレ朝の『ナニコレ珍百景』のように、知識や雑学を増やせる番組に興味を持ち、フジのように、シンプルな笑いを追求する番組には、興味を示さない。情報通信業は最新の情報や世の中の流行りを追いたいという思いから、情報力の高いTBSを選ぶのでしょう」

働く人々が選ぶ日曜夜のバラエティ番組からは、仕事に通じるテーマが垣間見えた。

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