回転窓/本格賃上げの春

2024年春闘で賃上げの動きが加速している。基本給を底上げするベースアップ(ベア)を巡り、自動車や電機ら大手企業で満額回答が相次いだ▼岸田文雄首相は13日、政府と経済界、労働界のトップによる政労使会議で「コストカット型経済から次のステージに移行していく良い動きを確認できた」とした上で、デフレ脱却へ「これから正念場」と訴えた。今後は、中小企業らを含めた底上げが争点となる▼建設業も同様だ。岸田首相や斉藤鉄夫国土交通相、建設業主要4団体のトップらは、8日に意見交換を実施し、賃上げを推進していく方向で一致。5%を十分に上回る水準を目指す▼現実の賃上げには原資が必要。生産性向上や付加価値を高めることはもちろんだが、上昇基調にある物価や人件費に見合う形で、工事費に価格転嫁していくことも不可欠だ▼価格転嫁の波は自らの生活にも降りかかる。日本商工会議所の小林健会頭は「消費者には良いもの、良いサービスには値が付くことへの理解をお願いしたい」と呼び掛けた。価格だけではなく質も重視する。一人一人が意識を変えて、経済の好循環につなげたい。

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