国交省/安衛経費確保へ標準見積書の作成手順示す、工種ごとに算出方法検討を

国土交通省は建設工事の安全衛生対策の関係経費を内訳明示する「標準見積書」の作成を専門工事業団体に促す。あらゆる工種での活用を想定した標準見積書の作成手順をまとめた。安全衛生経費の算出方法として▽個別工事現場の経費▽個別工事現場の技能者にかかる経費▽店社で支出する経費-の三つの観点からトータルの必要経費を計上する複数のパターンを提示。これに沿って工種ごとに適した算出方法や見積書への記載方法を検討してもらう。各団体に対応を依頼する文書を近く発出する。=2面に関連記事
学識者や建設業団体の実務者らで構成する「安全衛生対策項目の確認表及び標準見積書に関するWG」の14日の会合で作成手順の案を示した。先行工種と位置付けた「型枠」と「左官」での検討結果も説明した。
国交省は標準見積書の作成に先駆け、各団体に対策項目の「確認表」の作成を促している。確認表の活用で必要な対策の漏れをなくし、元請・下請それぞれの費用負担を明確化。次のステップとして確認表などをベースに下請が必要経費を明示する標準見積書を普及させ、元請からの適切な支払いにつなげる。
個別現場の対策項目として想定する立ち入り禁止措置や開口部養生設置などの経費は積み上げて計算する。保護帽や墜落制止用器具、安全靴などの保護具や空調服といった個別現場の技能者にかかる経費は、積み上げ計算を基本としつつ、難しければ率計算で対応するパターンも用意する。
率計算は、自社の施工実績などから工事金額や労務費に占める経費率を算出し、対象工事に当てはめる。具体的には1年間にかかった保護具などの総額を工事金額の場合は1年間の売上高、労務費の場合は技能者の年収で割って算出する。
安全大会や責任者教育などを想定する店社で支出する経費も、積み上げ計算が難しいため、自社の支出実績などから工事金額や労務費に占める経費率を算出し、対象工事に当てはめて必要経費を導き出す。
先行2工種の各専門工事業団体が工種特性に応じ積算方法を検討した結果を反映させ、算出方法を単一ではなく複数パターンで示す方向に落ち着いた。型枠は個別現場の経費を技能者にかかる分も含めて積み上げて計算し、店社の支出分を加える算出方法。左官は技能者にかかる経費は業界内で共通するとの考えから、労務費に占める経費率を業界統一で設定した。

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