【解説】税負担を減らしたい…「社会人1年目からできる節税」2つの方法

新型コロナウイルスの感染拡大による「景況感の悪化」は回復の兆し?

新年度は目前。皆さんの中には春から「新社会人」として働き始める人もいるのではないでしょうか。

リクルートワークス研究所が公表した「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)」によると、春2024年3月卒業予定の大学生・大学院生対象の求人倍率は1.71倍。昨年の「1.58倍」より、0.13ポイント上昇の結果となったようです。

ちなみに、新型コロナウイルスの感染拡大による景況感の悪化で低下した倍率は昨年度から回復の兆しがあり、企業による採用意欲が高まる結果となりました。

働く対価としてもらう給与には、いわゆる「額面」と、税金支払い後に実際に受け取る「手取り」の差が生じます。昨今、何かと増税に焦点が当てられがちですが、節税制度を利用すれば支払う税金を少なくできるかもしれません。

今回は、新社会人もすぐ取り掛かることができる節税方法をチェックしていきましょう。

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社会人1年目からできる!知らないと損する「節税方法」

社会人1年目から誰でもできる節税方法について2つご紹介していきます。

掛金が控除できる「iDeCo」

「iDeCo」とは自分が拠出した掛金を、自分で運用し、資産を形成する年金制度。

英語表記である「individual-type Defined Contribution pension plan」の頭文字などから名付けられています。

掛金が控除できる「iDeCo」の仕組み

iDeCoでは、拠出の際に所得税と住民税の控除を受けられます。ただし、社会人1年目の人に住民税はかかりません。

掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、例えば毎月の掛金が1万円の場合、所得税(10%)、住民税(10%)とすると年間2万4000円、税金が軽減されます。

返礼品をもらえる「ふるさと納税」

「納税」という言葉がつくふるさと納税ですが、実際には都道府県や市区町村への寄附を指します。

【図解】ふるさと納税(寄附金)の仕組み

一般的に自治体に寄附をした場合には、確定申告を行うことで寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されます。

しかし、ふるさと納税では原則として自己負担額の2000円を除いた全額が控除の対象となります。

また、住民税は翌年のものから控除されるので、住民税のかからない社会人1年目も利用価値があるといえるでしょう。

控除の上限額は収入によって変わるため自分の年収と照らし合わせて上限ぎりぎりを狙うのがポイントです。

「ふるさと納税」は厳密にいえば節税ではありませんが、ぜひ利用を検討してみてください。

「給与の手取り額」はどう決まる?まつわる主な「税金」2種類

社会人1年目からでも、収入があれば納税しなければなりません。

給与から天引きされるものとしては、大きく分けて「税金」と「社会保険料」の2つがあります。

今回は、2つの「税金」について詳しく見ていきましょう。

給与額によって納税額が変わる「所得税」

所得税の税率(平成27年分以後)

「所得税」は、年収に対して課税される額が変わります。

日本では「累進課税制度」という仕組みが採用されています。収入が多い人ほど税率は高くなり、税負担が重くなるように設定されています。

新卒の方であれば、給与の10%~20%から基礎控除が引かれた額が納税額になるのではと推測できるでしょう。

ちなみに「控除」とは、一定の金額を差し引くことを指します。

収入から必要経費等が控除されると、課税対象額が減るため納税額が減る形となるのです。

社会人2年目から納税する住民税

道府県民税と市町村民税は合わせて「住民税」と呼ばれています。

住民税は住民が平等に負担する金額(均等割)、前年所得の額に応じて負担する金額(所得割)から成り立っています。

住民税は「前年の収入に応じて課税される税金」ですので、社会人1年目のように前年の収入がほとんどなかった場合には住民税の課税は行われません。

2年目以降に納税するものということだけ覚えておくと良いですね。

さまざまな制度を利用して、素敵な新生活を

社会人になると、それまであまり関わってこなかった税金について考えることが多くなるものです。

今回、ご紹介した制度は社会人1年目から使うことができます。

「難しそう……」と利用を見送っていた人も、ぜひ利用を検討してみてください。

参考資料

  • リクルートワークス研究所「第40回 ワークス大卒求人倍率調査(2024年卒)
  • 国税庁「No.2260 所得税の税率」
  • 総務省「地方税制度 個人住民税」
  • iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)のメリット」
  • 総務省「よくわかる!ふるさと納税」

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