ゼリー飲料 1000億円規模へ拡大 コロナ禍で新規ユーザーが流入・定着

ゼリー飲料市場が1千億円あるいは1千億円に近しい規模へと拡大している。インテージSRI+によると2023年(1-12月)ゼリー飲料市場の販売金額は前年比9.9%増の990億円。同市場は、コロナ禍の外出自粛で20年に落ち込みをみせたが、21年から再び拡大基調にある。これには、コロナ禍による自宅療養やワクチン接種時の体調管理ニーズで、これまでゼリー飲料を飲んだことのなかった新規ユーザーを取り込み定着化が図れたことに加え、23年からの本格的な行動制限の緩和で通勤時・スポーツ時などと飲用機会が増えたことが要因とみられる。

この潮流の中、主要各社は多様化するニーズに対応。トップブランド「inゼリー」(森永製菓)の4-12月販売金額は8・5%増を記録。コンビニとドラッグストアでの店頭回転が好調に推移し、アイテムとしては“考えるためのエネルギー”として「ブドウ糖」がブランドの成長に貢献した。

「ブドウ糖」の直近の動きとしては、将棋の藤井聡太棋聖が対局中に愛飲していたことが話題となり、特に受験生からの支持拡大が需要増を後押ししているとみられる。

「PERFECT VITAMIN 1日分のビタミンゼリー」(ハウスウェルネスフーズ)シリーズ3品の23年(1―12月)販売金額は二ケタ増で着地。これには、昨年のパッケージリニューアルで新たに記載した「ビタミン13種全部入り」のコピーが奏功した。

ハウスの藤堂真人事業開発二部第二グループマネージャーは「『全部入り』という馴染みやすく分かりやすい言葉により、13種類のビタミンがすべて入っているという製品の価値がお客様に直感的に伝わるようになったとみている」と説明。

開けやすい新キャップの導入も女性やシニア層の獲得につながり販売を後押しした。

「キレートレモンクエン酸2700ゼリー」(ポッカサッポロフード&ビバレッジ)は20年に機能性表示食品としてリニューアルして以降、伸長を続けている。

メーンチャネルであるコンビニでの23年(1-12月)販売金額は前年比60%増を記録。今年の出足も同水準で推移している。

同商品の特徴的な動きとしては20・30代女性層からの支持が広がっている点にある。その要因について、ポッカサッポロの高井朋子マーケティング本部ブランドマネジメント部アシスタントマネージャーは「リフレッシュできて疲労感も軽減できるという点がこれまでになかった商品としてユーザーを獲得している。美容師や保育士として働いている方やアパレル関係の方からも、忙しい合間の食事代替として需要を獲得している」と語る。

子ども連れの外出時の持ち運びに対応して好調に推移しているのは「ぷるんぷるんQoo」(コカ・コーラシステム)。

日本コカ・コーラの山﨑賢マーケティング本部ニュートリション・カテゴリー事業本部シニアブランドマネジャーは、「持ち運びしやすく、お出かけして子どもが欲しがるタイミングで与えられ、飲み終わった後(喫食後)にクルクル丸めてコンパクトにでき、モビリティがものすごく良いということでご評価いただいている」と述べる。

なお、ゼリー飲料市場の昨年の動きについてインテージ市場アナリストの木地利光氏は「23年には新型コロナの5類移行に伴い、自宅療養やワクチン接種時の副反応対策としての需要は落ち込んだものの、外出時の水分・栄養補給の需要が高まったほか、猛暑により秋にかけて気温が高い状態が続いたことも機能系・デザート系両方の需要を引き上げた」との見方を示す。

ゼリー飲料市場 出典:インテージSRI+

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