ワンチャン行けるかと…年収600万円・39歳の夫「住宅ローン」全落ちの悲惨、妻の夢をぶち壊し、涙

国土交通省の調査によると、平均40歳前後でマイホームを実現しています。何千万円もする買い物なので、多くの人が「住宅ローン」を頼りにしています。しかし希望通りに借りられるというわけではなく、「審査が通らないから、マイホームを諦めた」というケースも。果たして銀行は、何を基準に審査をしているのでしょうか。みていきましょう。

もう「東京の新築マンション」は高嶺の花

――えっ⁉ 新築マンションの平均価格が1億円超え?

なんとも、ショッキングなニュース。不動産経済研究所によると、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で2023年に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は8,101万円で、前年から1,813万円、28.8%増と、3年連続で過去最高を更新しました。このうち東京23区の平均価格は1億1,483万円と平均で億ション。一般庶民は「東京にマンションがほしいわ」などと気軽に言えない状況です。

実際に1億円の新築マンションを買おうとしたら……考えるのは自由なので、シミュレーションしてみましょう。1割の頭金を用意して、あとは住宅ローンを利用。返済方式は元利均等、金利は0.5%、返済期間は30年とします。利息分は812万3,078円。高級車1台買えそうな金額です。月々の返済額は23万3,626円。それが30年続くことになります。

マイホームを実現する際に目安とすべきは大きく2つ。まず「年収倍率」。これは購入者の年収と物件購入価格の比率をあらわした数値で、5倍から7倍程度が理想といわれています。億ションを買えるのは「世帯年収1,428万~2,000万円」の人たちということになります。

もうひとつの返済負担率。収入に占める年間の返済額の割合で、年収400万円未満なら30%、年収400万円以上であれば35%が上限とされています。また負担感のないのは20%前後だといわれ、さまざまな統計の平均も15~20%となっています。仮に月々23万円のローン返済だとすると、平均的な負担率で考えるなら世帯年収1,380万~1,840万円が普通に億ションを買える人たち。負担率の上限で考えると世帯年収788万円です。

――俺らも買えるじゃん、億ション!

そう考えるのはかなり危険。返済負担率上限ギリギリだと、少しでもイレギュラーなことが起きれば、家計はあっという間に破綻。万が一のことを考えるなら「返済負担率20%以下」をひとつの目安にするのがおすすめです。

住宅ローンの審査…「銀行5行」で全落ちのワケ

実際にマイホームの購入を検討するなら、多くが「住宅ローンの活用」を検討するでしょう。ただ希望通り、誰もがお金を借りられるとは限りません。国土交通省『令和4年度 住宅市場動向調査』によると、銀行から「融資額の減額等をしなければ融資不可」とされたのが4.9%、「融資は一切できない」とされたのが3.7%。10人に1人程度の割合で、銀行から「あなたにお金は貸せません」といわれています。

――住宅ローン、全落ち……

と呟いた40歳目前だという自営業の男性もそのひとり。銀行5行にローンを申し込んだものの、すべてに断られたといいます。年収は600万円ほどだといいますが、実際、銀行はローン審査の際に何を基準としているのでしょうか。国土交通省『令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査』で銀行の主張をみていきましょう。

同調査によると、融資を行う際に考慮する項目で最も多かったのが「完済時年齢」で98.7%。ほか9割の銀行で審査の際に考慮すると回答があったのが「健康状態」「借入時年齢」「担保評価」「勤続年数」「連帯保証」「返済負担率」「年収」「金融期間の営業エリア」。ほか半数を超えたのが「国籍」「融資可能額(購入の場合)」「雇用形態」「他の債務の状況や返済履歴」でした。

さらに「性別」21.2%、「雇用先の規模」25.4%、「所有資産」26.2%、「家族構成」29.8%、「業種」34.4%と、「えっ、そんなことが審査の対象に⁉」というものも。銀行によって審査項目は異なるので「年収が高いから大丈夫」と一概にいうことはできなさそうです。

銀行が審査落ちの理由を説明してくれることは基本的にないといわれていますが、男性の場合、3年前に脱サラして、いまは自営業というのが最大のネックだったよう。自営業の場合、ローン申請時にある程度収入があっても、やはり波があるので、銀行も敬遠しがち。

――妻とも子どもが小学生にあがる前に家を買いたいねと話していた

――ワンチャン行けるかもと思ったけど……やっぱり駄目だった

――妻の夢をぶち壊してしまった……情けなくて涙がでる

何とも沈んだコメントを投稿した2週間後、「妻、無事、ローン通過!」と報告。思い描いたカタチとは異なるものの、夢のマイホームに向けて一歩前進したようです。

[参考資料]

国土交通省『令和4年度 住宅市場動向調査』

国土交通省『令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査』

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