ファーウェイも事業加速、中国新エネ車市場で超急速充電が高度成長期に

2024年の中国新エネ車市場は超急速充電が高度成長期に入るとみられている。写真はファーウェイの超急速充電スタンド。

2024年の春節(旧正月)は「新エネ車移動の大試練」と言われ、「順番待ちに数時間、充電に1時間」「帰省にガソリン車は8時間、新エネ車は15時間かかる」などと報じられ、これらの情報は多くの新エネ車所有者を困惑させた。

調査によると、消費者が新エネ車の購入を検討する際、「充電の難易度」が重要な要素となっている。公共の充電スタンドが少ない、充電待ちが発生しやすい、急速充電のスポットが少ない、充電スピードが遅いなどの問題が頻繁に起きている。

電気自動車(EV)は過去3年間、想像以上のスピードで発展してきた。多くの種類の急速充電バッテリーや800VモデルEVの登場、超急速充電ステーションの建設などに伴い、業界関係者は「24年は超急速充電が大きく成長する」とみている。

中国では21年に超急速充電に対応するEVはわずか8車種しかなかったが、23年には140車種余りに急増した。広汽埃安(AION)VなどのAクラスのEVが超急速充電に対応するなど、対応車種が拡大し続けている。超急速充電の普及はEV発展のトレンドになっている。

超急速充電の先駆者はテスラ

最初に超急速充電の道を進んだのはテスラだった。テスラは現在、中国で1500カ所以上、1万基以上のスーパーチャージャーを稼働し、目的地充電ステーション700カ所以上、目的地充電スタンド1900基以上を稼働している。北京、上海、深センなどの都市で「15分以内に充電可能」のインフラ基盤を形成した。

テスラは23年4月25日、中国本土でテスラ以外の新エネ車向けに試験的に充電ステーションを開放すると発表した。これには超急速チャージングステーション10カ所と目的地充電ステーション120カ所が含まれ、37車種の非テスラ車に充電サービスを提供する。

ファーウェイの液体冷却超急速充電事業が加速

ファーウェイ(華為)の取締役でファーウェイ・デジタルパワー(華為数字能源技術)社長の侯金龍(ホウ・ジンロン)氏は「2024年ファーウェイ中国デジタルパワー・パートナー大会で2月27日、「EVは全面的に高電圧化に進むだろう。1秒で1キロ、5分で200キロを充電し、ガソリンスタンドの給油とほぼ同じ充電体験が現実となる」と述べた。また、「今後10年でEVの保有台数は10倍に増え、それに伴い充電の電力量や充電スタンドの需要が急速に増加するだろう。ファーウェイの液体冷却超急速充電スタンドは最大出力が600kW、最大電流が600Aで、1秒1キロの充電スピードを実現する」と説明した。

ファーウェイ傘下のスマートモビリティー技術ソリューションブランド・鴻蒙智行(HIMA)は23年11月、24年末までに全国340以上の都市で超急速充電ステーション4500カ所以上、液体冷却超急速充電スタンド10万基以上を稼働するという計画を発表した。

EV新興企業の超急速充電インフラ建設計画

NIO(蔚来汽車)はバッテリー交換と超急速充電の両方を展開している。22年12月に500kWの超急速充電スタンド技術を発表し、23年末までに中国306都市に充電スタンド2万基以上を設置し、うち超急速充電スタンドは1090基に上り、中国で最も多く充電スタンドインフラを構築したEVメーカーとなった。

小鵬汽車(Xpeng)は23年8月時点で中国に充電ステーション2200カ所を所有しており、うち超急速充電ステーションは800カ所以上。小鵬汽車の創業者で最高経営責任者(CEO)の何小鵬(ホー・シャオポン)氏は同月に開催された超急速充電発表会で、「25年までに超急速充電ステーションをさらに2000カ所、27年末までに5000カ所設置する」と目標を述べた。

理想汽車(Li Auto)は1日、24年春季発表会で超急速充電ネットワーク展開計画を発表した。24年末までに新たに超急速充電ステーション2000カ所以上を建設し、25年末までに総計5000カ所に増やす。李想(リー・シアン)CEOは「12分以内に500キロの充電が可能な大量の超急速充電ステーションは新世代EVの購入に安心感をもたらす」と述べた。

ガソリンスタンド大手も超急速充電ステーションの建設に加入

国有エネルギー大手の中国石油化工(シノペック)は23年8月、「25年までに5000カ所以上のガソリンスタンドに超急速充電ステーションを設置する計画で、すでに2000カ所以上で設置済み」と発表した。

多くの企業が充電連盟を結成

メルセデス・ベンツとBMWは23年11月、提携契約を締結すると発表した。双方は50:50の株式比率で中国に合弁会社を設立し、中国で超急速充電ネットワークを運営する。

計画によると、26年末までに中国に先進技術を備えた超急速充電ステーションを少なくとも1000カ所建設し、超急速充電スタンド7000基を設置する。新エネ車の多い都市で24年に充電ステーションの運用を開始し、全国の他の都市や地域に徐々に拡大する予定だ。

ジャガーランドローバー、ボルボ・カーズ、極星科技、ロータス・テクノロジー(路特斯科技)、閃電速能は23年12月に共同で「中国充電連盟閃充委員会」を設立し、中国初の高級自動車ブランドの充電サービスプラットフォーム組織となった。

中国の23年の800V超急速充電モデルEVの浸透率は約2%で、25年までに16%、30年までに68%に拡大すると予測されている。超急速充電技術は新エネ車普及の鍵になるだろう。(編集/CL)

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