脱「Jなし県」へ レイラック滋賀の指揮官、菊池監督はどんな人? 「我慢強く、粘り強く」

レイラック滋賀を率いる菊池利三監督

 「スタジアムが沸くのはゴール前。サッカーの楽しさを知ってもらい、ファンやサポーターになってほしい」。サッカーのアマチュア最高峰・JFL(日本フットボールリーグ)に所属し、Jリーグ入りを目指す「レイラック滋賀FC」の指揮官、菊池利三(きくちとしみ)さん(50)が開幕前に語った意気込みだ。

 その言葉通り、今月10日の初戦では17本のシュートを放つ攻撃的なスタイルで3―1の快勝。ホーム史上最多となる4152人を集めた平和堂HATOスタジアム(滋賀県彦根市)には、大きな歓声が何度もこだました。

 現役時代はヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)やガンバ大阪などでプレーし、U―23日本代表にも選出。引退後は故郷の岩手で指導者の道を歩み、J3でも指揮した。

 全国にJ1~J3は全60クラブあり、「Jなし県」は滋賀など6県のみ。昨季にヘッドコーチとして招かれ、シーズン途中で監督に。最下位だった前年から過去最高の3位に躍進したが、J3昇格はわずかに届かなかった。

 その悔しさを知る主力を土台に、積極的な補強で選手層は厚みを増した。開幕戦では新加入選手が先制点を挙げ、途中出場組も躍動。「若い選手が多い中、競争がチーム力の強化につながる」とうなずく。

 弁が立つわけではなく、俺に付いてこいというタイプでもない、という。「選手と誠実に向き合うことを大事にしている」と話し、「試合でも『我慢強く、粘り強く』が染みついている。東北人の気質ですかね」と苦笑する。

 家族と離れ、初めての湖国暮らし。近江牛のおいしさや琵琶湖の大きさに驚いた。寺社巡りも好きだが、今は休日返上で対戦相手の分析などに費やし、たまにテレビ電話で娘2人と話すことが息抜きになっている。

 リーグは11月までの長丁場だ。「Jのチームがあれば滋賀の発展にもつながる。自らが生きた足跡を残せたら」。一つ一つ勝利を積み重ねた先に、悲願の成就が待っている。草津市在住。

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